令和5年度 上期 電験3種 機械 問8の過去問解説

令和5年度 上期 電験3種 機械 問8

三相変圧器の並行運転に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 各変圧器の極性が一致していないと、大きな循環電流が流れて巻線の焼損を引き起こす。

(2) 各変圧器の変圧比が一致していないと、負荷の有無にかかわらず循環電流が流れて巻線の過熱を引き起こす。

(3) 一次側と二次側との誘導起電力の位相変位(角変位)が各変圧器で等しくないと、その程度によっては、大きな循環電流が流れて巻線の焼損を引き起こす。したがって、Δ—YとY—Yとの並行運転はできるが、Δ—ΔとΔ—Yとの並行運転はできない。

(4) 各変圧器の巻線抵抗と漏れリアクタンスとの比が等しくないと、各変圧器の二次側に流れる電流に位相差が生じ取り出せる電力は各変圧器の出力の和より小さくなり、出力に対する銅損の割合が大きくなって利用率が悪くなる。

(5) 各変圧器の百分率インピーダンス降下が等しくないと、各変圧器が定格容量に応じた負荷を分担することができない。

解答・解説

正解(3)

(1)正しい

逆向きに接続すれば循環電流が流れて焼損します。接続方向には注意してください。

(2)正しい

変圧器の巻数が異なれば出力される電圧が異なるため、変圧器の間を結ぶ閉回路に循環電流が流れます。

(3)誤り

変圧器の並列運転を行うには、入出力の位相が等しくなければなりません。Y結線とΔ結線では30°位相差が生じるので、一次側及び二次側においてそれぞれどちらか一方しか選択できません。

(4)正しい

巻線抵抗と漏れリアクタンスの比率が等しい時に利用率が大きくなります。

(5)正しい

変圧器の百分率インピーダンス降下が等しくないと、一方の変圧器が定格運転の時、もう一方の変圧器が定格運転できず、変圧器全体の利用率が低下します。

変圧器の並列運転の条件についてのワンポイントアドバイスです。

●極性の一致
極性が一致している必要があります。本問題にあったように、極性が逆になると大きな循環電流が流れ、故障します。

●変圧比(巻数比)の一致
変圧比(巻数比)が異なると、二次側電圧の大きさが異なるので、循環電流が流れます。

●%インピーダンスの一致
一致していなければ、電流の配分を定格出力と比例させることができないので、利用率に影響します。

●抵抗と漏れリアクタンスの比率の一致
一致していないと、出力された電流の位相が異なるので、負荷に供給できる電流値が減少します。

●相回転と位相変位の一致
三相交流において相回転と位相変位が一致していないと、循環電流が流れます。

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