【H29 電験2種 二次 電力・管理 問6】特別高圧変電所における保全業務の論説問題

平成29年度 電験2種 二次試験 電力・管理 問6

特別高圧の変電所の保全業務における定期点検と、特別高圧の変電所構成機器の一つであるGIS(ガス絶縁開閉装置)設備診断に関して、それぞれ以下の問に答えよ。

(1)変電所機器・装置の定期点検は、一般的には、おおむね1~3年を点検周期とする点検(本問において「普通点検」という。)及びおおむね6~12年を点検周期とする精密な点検(本問において「精密点検」という。)に分けて行われている。その場合の普通点検及び精密点検のそれぞれの目的と具体的な内容を、違いが分かるように簡潔に述べよ。

(2)GISの設備診断のために、部分放電(絶縁材料の内部欠陥や表面の汚損などによって生じる微小な放電)を検出する技術が採用されている。部分放電を検出する方法として、電気的原理に基づくもの及びその他の原理に基づくものを一つずつ挙げ、それぞれの原理と具体的な方法を簡潔に述べよ。

解答・解説

解説に入る前にですが、よほど得意でない限りこの手の問題は選ばないほうがいいと思います。試験センターの解答を見ても、どことなく掴みどころのない解答になっていて、試験当日は回答内容にかなり迷うと思います。

例えば、小問(1)「普通点検」の、

  • 異常の点検→何の?
  • 内部診断→何を診断する?
  • 性能試験→何を測る?

みたいに考え出すと、回答がまとまりません。

よほど得意で、なんでも思いついて書けるのであれば、得点源になるので選んだ方がいいと思いますが、そうでない場合、平成29年度であれば問1問2問5の方が圧倒的に回答しやすく、ある程度波形の理解や回路理論で論詰めできる問題を選ぶのがいいと思います。

電力・管理では、計算問題の選択は無条件に必須と思いますが、論説問題の選択は、

  • 限りなく得点できそうなものを見極めれる力を養い
  • ヤバい系の問題は問題を読むことなく読み捨てる
    (問題を読むのに時間をかけるのがもったいない)

ので、そういった練習もしておくのが重要と思います。

電験も単なる試験なので、満点を取る必要はありません。

(1)普通点検と定期点検の目的と概要

(試験センター 標準解答)

普通点検と精密点検について
定期点検は,日常の巡視点検の際に点検手入れが出来ず,かつ定期的に点検手入れの必要がある部分に対して行うもので,工具・測定試験器を適宜活用して点検を行い,必要に応じて補修を行う。
a 「普通点検」
機器・装置の機能確認・維持を目的として,主として外部から行う点検である。機器・装置の運転又は停止状態において,各部の異常の有無についての点検,清掃及び測定器による内部診断,性能試験を行う。
b 「精密点検」
機器・装置の機能の維持・回復を目的として,主として分解して行う点検である。機器・装置の停止状態において,分解し点検,清掃を実施した後,損傷,磨耗,その他異常部分の補修又は基準に基づく部品交換を行い,併せて測定器により更に詳細な内部診断,性能試験を行う。

(解説)

特別高圧の点検は、

  • 巡視点検
  • 普通点検
  • 精密点検
  • 臨時点検

があります。

巡視点検は設備が運転状態のまま見回りで異常を確認するのに対して、定期点検では運転を停止して行います。

(2)GIS絶縁設備における部分放電を検出する技術の概要

(試験センター 解答)

GISの設備診断(部分放電検出技術)

a 電気的方法
以下のいずれかを挙げてあれば正解とする。
原理 部分放電により発生する電磁波や電圧・電流を検出する。
・電磁波検出:GIS 内部に設置した UHF 内部電極やスペーサ埋め込み電極,スペーサの外側に取り付けるサーチコイルなどのセンサのほか,各種アンテナ(ダイポール,バイコニカル等)を使用して電磁波を検出する。
・電圧検出:外被電極(箔状の金属電極)をタンク外側に取り付けて電圧を検出する。
・電流検出:接地線CTをGISの接地線に接続して電流を検出する。面電流センサを使っても電流検出が出来る。

以下のいずれかを挙げてあれば正解とする。

b 振動・音響法
原理 部分放電により発生するガス密度の振動や(超)音波を検出する。
振動加速度センサや超音波センサを用いて振動や音波を検出する。

c 分解生成ガスを用いた方法
原理 部分放電により発生する分解生成ガスの有無や種類を検出する。
ガスチェッカ(呈色反応試薬)を用いて分解生成ガスの有無を調べた
りガスクロマトグラフィーを用いてガスの種類や濃度を調べる。

d 光を利用した方法
原理 部分放電による発光を検出する方法
光電子増倍管(PMT)やフォトダイオードを用いて放電光を検出する。蛍光ファイ
バによっても発光を検出できる。

(解説)

GISで使用される$\mathrm{SF_6}$ガスは、大気圧で空気の3倍、2気圧で絶縁油相当の絶縁耐力があり、変電所の小型化に寄与しています。

一方で不平等電界には非常に弱く、内部に金属粉などがあれば部分放電が発生し、最終的に絶縁が破壊される危険性があります。

$\mathrm{SF_6}$ガスは人体に無害なガスではありますが、アークを消弧したりするときに分子が分解してしまうように、部分放電によっても分解ガスが生じたり、部分放電自体も電磁波や電流、電圧を生じます。

こうした部分放電により発生するものを測定する手法が、試験センターで挙げられている回答内容になります。

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