【H30 電験2種 2次 電力・管理 問6】送電系統の中性点接地方式に関する論説問題

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この記事では、平成30年度 電験2種 2次試験 電力・管理 問6の過去問解説をします。

中性点接地方式に関する論説問題で、

  • 非接地方式
  • 直接接地方式
  • 低抵抗接地方式
  • 消弧リアクトル接地方式

に関する基本的な内容が問われています。

比較的解答しやすい論説問題なので、得点源になります。

平成30年度 電験2種 2次試験 電力・管理 問6

次の問は、送配電系統の中性点接地方式に関するものである。

(1)中性点接地方式には、①非接地方式、②直接接地方式、③抵抗接地方式、④消弧リアクトル接地方式などがある。
我が国の以下の電圧の送配電系統に対し、上記のうち、どの中性点接地方式が広く用いられているかを答えよ。
a 高圧配電系統
b 154kVの送電系統

(2)消弧リアクトル接地方式の仕組みと目的についてそれぞれ述べよ。

(3)抵抗接地方式について、直接接地方式と比較した場合の長所、短所をそれぞれ一つずつ述べよ。

解答・解説

この問題は電力・管理科目の地絡電流に関する計算問題と非常に関連する内容なので、論説の中でも非常に回答しやすい部類かなと思います。

  • 計算対策の知識で対応可能な論説問題
  • 論説なので計算ミスの心配もない

こんな問題が出題されたら、試験開始後すぐに回答して合格を確信したくなるタイプの問題です。

※試験戦略にもよりますが、私の感覚では、電験1種・2種ともに、計算3問を必答で狙う中、偶然でもいいので論説1問が完答できれば、まず合格を確信していいと思います。

小問(1)

試験センター 標準解答

a 非接地方式
b 抵抗接地方式

消弧リアクトル接地方式は基本的に使用されない。

配電系統は基本的に非接地方式です。

また、基本的には電圧が高くなるほど接地抵抗が小さくなる傾向を覚えておいてください。

154kVとなると、直接接地か抵抗接地か微妙なラインですが、抵抗接地になります。

消弧リアクトル接地方式は、並列共振により地絡事故の自然消滅を狙う方式ですが、今はあまり使用されない方式なので、回答の選択肢から自動的に除外されます。

このページの下に接地方式に関するまとめたので、そちらもご確認ください。

小問(2)

試験センター 標準解答

(仕組み)
1線地絡時に故障点から大地を通って,対地静電容量に流れ込む電流を打ち消すようなインダクタンスをもつ消弧リアクトルを中性点に設置し並列共振回路とすることで,地絡故障時のアークを消弧する。

(目的)
線路を遮断せず,そのまま電力の供給を続けること。

消弧リアクトル接地方式とは

消弧リアクトル接地方式は、送電線の対地静電容量と、中性点に挿入するリアクトルによって並列共振を起こし、地絡故障時のアークを消弧させる方式です。

解図1に地絡故障を、解図2にテブナンの定理により簡単化した回路を示します。

解図1

解図2

解図2から、回路のインピーダンス\dot{Z}は、

$$\begin{align}
\dot{Z}&=R_g+\frac{1}{\frac{1}{j\omega L}+j3\omega C}\\
&=R_g+\frac{j\omega L}{1-3\omega^2LC}
\end{align}$$

になりますが、並列共振させインピーダンス$\dot{Z}$を$\infty$にすることで、地絡アークを強制的に消弧します。

小問(3)

試験センター 標準解答

下記のうち,長所,短所それぞれいずれか 1 項目記載してあればよい。

(長所)
① 抵抗接地方式は直接接地方式に比べ,地絡故障時の電流が小さいため,通
信線に対する電磁誘導障害が少ない。
② 抵抗接地方式は直接接地方式に比べ,地絡故障時の電流が小さいため,機器や故障点に与える機械的ショックが小さい。
③ 抵抗接地方式は直接接地方式に比べ,地絡故障時の過渡安定度が大きい。

(短所)
① 抵抗接地方式は直接接地方式に比べ,地絡時の健全相の電圧上昇が大きく機器の絶縁レベルを高くとる必要がある。
② 抵抗接地方式は直接接地方式に比べ,接地機器の価格が高い。
③ 抵抗接地方式は地絡事故時の地絡電流を抑制するので,地絡リレーの事故検出機能は直接接地方式に比べ低い。

電力系統の接地方式

電力系統の接地方式についてまとめると、下の表になります。

接地方式 電圧階級 地絡電流の大きさ 健全相の対地電圧上昇量
直接接地 187kV以上 最大 平常通り
抵抗接地 22~154kV 中程度
(抵抗値次第)
中程度
(有効接地系統)
非接地 33kV以下
(配電系統)
消弧リアクトル接地方式 66~110kV
(間欠アーク地絡)

地絡電流と電磁誘導障害・リレー動作の関係性

地絡電流の大きさは、中性点に挿入する抵抗値に従って変化します。

つまり、小さな抵抗で接地(究極的には直接接地)すれば大きな地絡電流が流れ、大きな抵抗接地(究極的には非接地)すれば地絡電流は流れなくなります。

地絡電流は大きくなるほど、通信線への電磁誘導障害が大きくなるので危険です。

一方で、リレーによって地絡故障を選択遮断する場合、地絡電流が大きい方が確実に動作します。

そこで、通信線の状況も勘案し、危険が生じない程度に地絡電流を流すため、中性点接地抵抗を選定する必要があります。

補足事項

有効接地系統

地絡点の健全相対地電圧は最大でも相電圧の1.3倍以下に抑制可能な接地を行っていること。

消弧リアクトル接地方式は最近は使われない

消弧リアクトル接地方式は、送電線の対地静電容量と共振させる関係上、系統容量の増加とともに大きなリアクトルを必要とします。この場合、断線時に異常電圧を発生する恐れがあり、最近では高抵抗接地方式が採用されています。

間欠アーク地絡

地絡点で消弧と再点弧を繰り返すことで健全相に振動する異常電圧が発生すること。

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