令和4年度 電験2種 2次試験 機械・制御 問1の過去問解説(電気機器 同期発電機の電圧変動率の計算問題)

同期発電機に関して、次の問に答えよ。

定格電圧$6 000{\rm V}$、容量$5 000{\rm kV・A}$の三相同期発電機がある。無負荷で定格電圧を発生させる界磁電流における三相短絡電流は$300{\rm A}$であった。この発電機について次の問に答えよ。なお、巻線抵抗は無視し、定格力率は$90\%$とする。また、磁気飽和は無視する。

(1)定格電流$I_N\left[{\rm A}\right]$を求めよ。

(2)短絡比$K$を求めよ。

(3)基準インピーダンス$Z_N\left[Ω\right]$を求めよ。

(4)同期リアクタンス$Z_S\left[Ω\right]$を求めよ。

(5)定格状態で運転しているときの電圧変動率$\varepsilon\left[\%\right]$を求めよ。

解答・解説

小問(1)

定格電圧$6000{\rm V}$(線間電圧)、定格容量$5000{\rm kV・A}$なので、定格電流は、

$$\begin{align}
I_N&=\frac{5000×10^3}{3×\frac{6000}{\sqrt{3}}}\\
&=481.111111108{\rm \left[A\right]}\tag{1}
\end{align}$$

となる。

(答)$I_N=481\left[{\rm A}\right]$

小問(2)

小問(1)の結果は、定格容量、定格電圧基準の際の基準電流になる。短絡比は、無負荷定格電圧時に三相短絡を起こしたとき、基準電流の何倍の電流が流れるかを示す指標であり、問題文より三相短絡電流は$300\left[{\rm A}\right]$であるので、

$$\begin{align}
K&=\frac{{\rm 短絡電流}}{{\rm 定格電流}}\\
&=\frac{300}{481.111111108}\\
&=0.62355658199\tag{2}
\end{align}$$

となる。

(答)$K=0.624$

小問(3)

定格容量、定格電圧を基準とすれば、基準インピーダンス$Z_B$は、

$$\begin{align}
Z_B&=\frac{\frac{{\rm 定格電圧}}{\sqrt{3}}}{{\rm 定格電流}}\\
&=\frac{\frac{6000}{\sqrt{3}}}{481.111111108}\\
&=7.20042242481[Ω]\tag{3}
\end{align}$$

となる。

(答)$Z_B=7.20\left[{\rm Ω}\right]$

小問(4)

解図1に示す通り、定格電圧時に短絡すれば、電源と$\dot{Z_S}$との間に閉回路ができ、そこに短絡電流が$300\left[{\rm A}\right]$流れることが分かる。


(a)開放時

(b)短絡時

解図1

解図1(b)より、

$$\begin{align}
Z_S&=\frac{\frac{定格電圧}{\sqrt{3}}}{短絡電流}\\
&=\frac{\frac{6000}{\sqrt{3}}}{300}\\
&=11.5473441108\left[Ω\right]\tag{4}
\end{align}$$

となる。

(答)$Z_S=11.5\left[{\rm Ω}\right]$

(別解)

短絡比の逆数がパーセントインピーダンス(p.u.値)なので、

$$\begin{align}
\frac{1}{K}&=\frac{1}{0.62355658199}\\
&=1.60370370369\left[{\rm p.u.} \right]
\end{align}$$

Ω値のインピーダンスは、基準インピーダンスに${\rm p.u.}$値を掛ければ求めれるので、

$$\begin{align}
Z_S&=7.20042242481\times1.60370370369\\
&=11.5473441108\left[\Omega\right]
\end{align}$$

小問(5)

位相の基準として、相電圧(定格値)$\dot{E_N}$を基準とすれば、定格時の線電流$\dot{I}$は、定格力率が90%なので、

$$\dot{I_N}=481.111111108\left(0.9-j\sqrt{1-0.9^2}\right)\tag{5}$$

となる。したがって、無負荷誘導起電力$\dot{E_0}$は、

$$\begin{align}
\dot{E_0}&=\dot{E_N}+\dot{I_N}\dot{Z_S}\\
&=\frac{6000}{\sqrt3}+481.111111108\left(0.9-j\sqrt{1-{0.9}^2}\right)・j11.5473441108\\
&=5885.81375738+j4999.99999994\tag{6}
\end{align}$$

$$\begin{align}
\left|\dot{E_0}\right|&=\sqrt{5885.81375738^2+4999.99999994^2}\\
&=7722.87534444\left[{\rm V}\right]\tag{7}
\end{align}$$

電圧変動率$\epsilon$は、

$$\begin{align}
\epsilon &=\frac{\left|\dot{E_0}\right|-\left|\dot{E}\right|}{\left|\dot{E}\right|}×100\\
&=\frac{7722.87534444-\frac{6000}{\sqrt{3}}}{\frac{6000}{\sqrt{3}}}×100\\
&=122.933668274\left[{\%}\right]\tag{8}
\end{align}$$

となる。

(答)$\epsilon=123\left[\%\right]$

■おさらい

電圧変動率とは、下図に示すように同期発電機が定格運転しているとき、無負荷にしたら端子電圧が何[%]変動するかを計算するものです。

定格運転時、端子電圧は定格電圧$\dot{E_n}$ですが、同期発電機内部では、定格負荷電流$\dot{I_N}$と同期インピーダンスの積による電圧降下$\dot{Z_B}\dot{I_N}$が生じており、それらの和が無負荷誘導起電力$\dot{E_0}=\dot{E_N}+\dot{Z_B}\dot{I_N}$となります。

ここで、同期発電機を無負荷にしたとすれば、負荷電流は0[A]になるので、同期発電機内部で電圧降下が生じず、端子電圧$\dot{E}$は無負荷誘導起電力$\dot{E_0}$まで上昇します。その電圧上昇量を、定格電圧$\left|\dot{E_N}\right|$基準の比率で示したものが電圧変動率であり、

$$\epsilon=\frac{\left|\dot{E_0}\right|-\left|\dot{E_N}\right|}{\left|\dot{E_N}\right|}\times100$$

で計算できます。


(a)定格負荷供給時

(b)開放時
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