【H29 電験2種 2次 電力・管理 問1】コンバインドサイクル発電プラントの大気温度上昇時の影響と対策の論説問題

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この記事では、平成29年度 電験2種 2次試験 電力・管理 問1の過去問解説をします。

この問題は、大気温度が上昇した際にコンバインドサイクル発電に生じる問題と、その対策方法を答える論説問題です。

車に詳しい方であれば、ターボ車のインタークーラーの必要性と併せて考えれば、直感的に理解しやすい問題となっています。

平成29年度 電験2種 2次試験 電力・管理 問1 問題文

ガスタービン主体に構成されるコンバインドサイクル発電プラントに関して、次の問に答えよ。

(1)大気温度上昇が最大出力に及ぼす影響について、その理由とともに説明せよ。

(2)回答(1)に対する改善策を挙げよ。

解答・解説

小問(1)大気温度上昇が最大出力に及ぼす影響

試験センター 標準解答

ガスタービン発電は大気温度の上昇によって最大出力が低下する特性がある。ガスタービン動翼入口温度は,高温部品の耐久性によって上限値が定められている。圧縮機が吸入する空気の体積流量はほぼ一定であり,大気温度の上昇により空気密度が低下するため,空気の質量流量が低下する。そのため,投入できる燃料量が減少し,ガスタービン出力は低下する。また,これにより排ガス量も減少することから,排熱回収ボイラで回収する熱量も減少し,蒸気タービン出力も低下するので,コンバインドサイクル発電の最大出力は低下する。

コンバインドサイクル発電と外気温度

空気は温度が上昇すると密度が下がり、それによって酸素濃度も薄くなるので、投入できる燃料が少なくなり、出力が低下します。

同時に排ガス温度も低下するので、回収できる排熱も低下し、蒸気タービンの出力も低下し、コンバインドサイクル全体の出力も低下します。

解図1

空気の密度低下による出力低下は、最も身近な例で車を見てみるとわかりやすいです。

ターボ車は空気を圧縮し、より多くの空気をエンジン内部に送り込むことで投入できるガソリンの量を増やし、出力を向上させます。

しかし、空気は圧縮すると温度が上昇し、密度が低下するため、圧縮による密度の向上を有効にするには、圧縮した空気を冷やす必要性があります。

そこでインタークーラーと呼ばれるものが搭載されています。

インタークーラーは空冷式・水冷式があり、特に空冷式のタイプではボンネット上に穴が開いているものもあり、外見からもわかりやすいです。

インタークーラーで外気と熱交換し、圧縮時に温度が上昇した空気の温度を冷やすことでエンジンに送り込む空気量(=酸素量)を向上させるのです。

解図2

小問(2)大気温度上昇に対する改善策

試験センター 標準解答

この対策として,圧縮機入口の空気温度を下げるため,吸気に水を噴霧することで水の蒸発潜熱によって吸気温度を下げ,空気の質量流量を増加し,出力低下を改善する方法や,エバポレータークーラ方式,チラー方式などのガスタービン吸気冷却装置を設置することが挙げられる。また,蒸気タービン出力の低下分を改善するために,排熱回収ボイラに助燃バーナを追設することもある。

コンバインドサイクル発電の最大出力向上対策

外気温が高く出力が低下するのであれば、まずはガスタービンの吸気温度を低下させることを考えます。

主に水を霧状に噴射し、蒸発潜熱で吸気温度を下げたり、ガスタービン吸気冷却装置を設置します。

そのほか、汽力発電の出力低下を防ぐには排熱回収ボイラに助燃バーナを設置することも考えられます。

解図3

こちらも身近な例で、車で「直噴」という言葉をよく聞くと思います。

直噴とは、筒内直接燃料噴射のことで、シリンダー内に直接燃料を霧状に噴射し、その気化熱でシリンダー内部の温度を下げることで、より高い圧縮比を生み出すものです。

ガスタービンのような、燃料を燃やし直接何かを駆動するようなシステムの場合、意外にも車のエンジンとかと紐づければスムーズに理解が進みます。

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