【R2 電験2種 2次 機械・制御 問4】二次遅れ要素の減衰係数と定常偏差に関する計算問題

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この記事では、令和2年度 電験2種 2次試験 機械・制御 問4の過去問解説をします。

電験2種の自動制御では頻出の2次遅れ要素の問題です。

問われる内容としては、

ぐらいなので、一通り自動制御の試験対策を行えば、無理なく完答できる問題といえます。

令和2年度 電験2種 2次試験 機械・制御 問4 問題文

図のようなフィードバック制御系について、次の問に答えよ。ただし、$R\left(s\right)$は目標値、$D\left(s\right)$は外乱、$U\left(s\right)$は操作量、$Y\left(s\right)$は制御量、$E\left(s\right)$は偏差とする。外乱$D\left(s\right)$の時間関数は次に示すランプ関数であり、$d\left(t\right)=\left\{\begin{matrix}2t\left(t\geqq0\right)\\0\left(t<0\right)\\\end{matrix}\right.$とする。

(1)$R\left(s\right)=0$、$C\left(s\right)=K>0$のとき、外乱$D\left(s\right)$による定常速度偏差$e_V$を求めよ。

(2)$C\left(s\right)=K>0$のとき、閉ループ系の安定性の指標の一つである減衰係数$\xi$を0.8に設定するための$K$の値を求めよ。

(3)$R\left(s\right)=0$、$C\left(s\right)=A・\frac{s+1}{0.1s+1}$ $\left(A>0\right)$の場合について、外乱$D\left(s\right)$による定常速度偏差$e_V$を求めよ。

(4)上記(3)の$C\left(s\right)$を用いた閉ループ系の減衰係数$\xi$が0.8になるような$A$の値を求めよ。

(5)上記(2)と上記(4)の場合、それぞれにおいて閉ループ系の固有角周波数$\omega_n$を求めよ。その結果、上記(2)の場合に比べて上記(4)の場合は、応答が何倍速くなるかを示せ。

(6)上記(2)と上記(4)の場合、それぞれにおいて外乱$D\left(s\right)$に対する定常速度偏差$e_V$を求めよ。その結果、上記(2)の場合に比べて上記(4)の場合は、定常速度偏差が何倍になるかを示せ。

解答・解説

小問(1)

$D\left(s\right)$から$E\left(s\right)$までの伝達関数は、

$$E\left(s\right)=-Y\left(s\right)=-\left\{ D\left(s\right)+\frac{K}{s\left(s+1\right)}E\left(s\right) \right\}$$

$$\left(1+\frac{K}{s(s+1)} \right)E\left(s\right)=-D\left(s\right)$$

$$\frac{s\left(s+1\right)+K}{s\left(s+1\right)}E\left(s\right)=-D\left(s\right)$$

$$E\left(s\right)=-\frac{s\left(s+1\right)}{s\left(s+1\right)+K}\left(s\right)$$

となる。

定常速度偏差、つまり、

$$D\left(s\right)=\frac{2}{s^2}$$

が入力された時の偏差$E\left(s\right)$は、

$$E\left(s\right)=-\frac{s\left(s+1\right)}{s\left(s+1\right)+K}\frac{2}{s^2}=-\frac{2}{s}\frac{s+1}{s\left(s+1\right)+K}$$

となる。

定常偏差は、最終値の定理より、

$$\begin{align}
e_V&=\lim_{s→0} sE\left(s\right)\\
&=\lim_{s→0} s\left(-\frac{2}{s} \frac{s+1}{s\left(s+1\right)+K}\right)\\
&=\lim_{s→0} \left(-2\frac{s+1}{s\left(s+1\right)+K}\right)\\
&=-\frac{2}{K}
\end{align}$$

(答)$e_v=-\frac{2}{K}$

小問(2)

解図1に示す通り、前向き伝達関数と一巡伝達関数を見れば、R(s)からY(s)までの伝達関数は、

$$\begin{align}
\frac{Y\left(s\right)}{R\left(s\right)}&=\frac{\frac{K}{s\left(s+1\right)}}{1+\frac{K}{s\left(s+1\right)}}\\
&=\frac{K}{s^2+s+K}
\end{align}$$

となる。

解図1

二次遅れ要素の基本形として、

$$\frac{\omega_n^2}{s^2+2\xi \omega_n+\omega_n^2}$$

であるので、

$$\begin{cases}
2\xi \omega_n=1\\
\omega_n^2=K
\end{cases}$$

となる。

ここで、$\xi=0.8$より、

$$2\xi \omega_n=2×0.8×\omega_n=1$$

$$\omega_n=0.625$$

よって、

$$K=\omega_n^2=0.6252=0.390625$$

となる。

(答)$K=0.391$

小問(3)

$D\left(s\right)$から$E\left(s\right)$までの伝達関数は、

$$E\left(s\right)=-Y\left(s\right)=-\left\{A・\frac{s+1}{0.1s+1}\frac{1}{s\left(s+1\right)}E\left(s\right)+D\left(s\right)\right\}$$

$$\left\{1+A・\frac{1}{s\left(0.1s+1\right)}\right\}E\left(s\right)=-D\left(s\right)$$

$$E\left(s\right)=-\frac{1}{1+A・\frac{1}{s\left(0.1s+1\right)}}D\left(s\right)=-\frac{s\left(0.1s+1\right)}{0.1s^2+s+A}D\left(s\right)$$

定常速度偏差、つまり、

$$D\left(s\right)=\frac{2}{s^2}$$

が入力された時の偏差は、

$$E\left(s\right)=-\frac{s\left(0.1s+1\right)}{0.1s^2+s+A}\frac{2}{s^2}$$

となる。

最終値の定理より、定常偏差は、

$$\begin{align}
e_V&=\lim_{s→0}sE\left(s\right)\\
&=\lim_{s→0}s\left\{-\frac{s\left(0.1s+1\right)}{0.1s^2+s+A}\frac{2}{s^2}\right\}\\
&=\lim_{s→0}-\left\{-2\frac{0.1s+1}{0.1s^2+s+A}\right\}\\
&=-\frac{2}{A}
\end{align}$$

(答)$e_v=-\frac{2}{A}$

小問(4)

小問(2)と同様に前向き伝達関数と一巡伝達関数を見れば、R(s)からY(s)までの伝達関数は、

$$\begin{align}
G\left(s\right)&=\frac{A・\frac{s+1}{0.1s+1}\frac{1}{s(s+1)}}{1+A・\frac{s+1}{0.1s+1}\frac{1}{s\left(s+1\right)}}\\
&=\frac{A}{s\left(0.1s+1\right)+A}\\
&=\frac{A}{0.1s^2+s+A}\\
&=\frac{10A}{s^2+10s+10A}
\end{align}$$

となる。

ここで、2次遅れ要素の基本形として、

$$G(s)=\frac{\omega_n^2}{s^2+2\xi\omega_ns+\omega_n^2}$$

であるから、係数比較して、

$$\begin{cases}
2\xi\omega_n=10\\
\omega_n2=10A
\end{cases}$$

である。

$\xi=0.8$なので、

$$2×0.8×\omega_n=10$$

$$\omega_n=6.25$$

よって、

$$10A=6.252$$

より、

$$A=3.90625$$

となる。

(答)$A=3.91$

小問(5)

固有角周波数$\omega_n$については導出済みである。

小問(2)において、$\omega_n=0.625\left[{\rm rad/s}\right]$である。

小問(4)において、$\omega_n=6.25\left[{\rm rad/s}\right]$である。

固有角周波数の比は10倍であるから、応答速度は10倍速くなる。

(答)10倍速くなる。

小問(6)

小問(2)において、

$$e_v=-\frac{2}{K}=-\frac{2}{0.390625}=-5.12$$

小問(4)において、

$$e_v=-\frac{2}{A}=-\frac{2}{3.60625}=-0.512$$

定常速度偏差は$\frac{1}{10}$倍になる。

(答)定常速度偏差は$\frac{1}{10}$倍になる。

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