令和4年度 電験2種 2次試験 電力・管理 問5の過去問解説(発電:再生可能エネルギー導入時の技術的課題の論説問題)

再生可能エネルギーに関して、次の問に答えよ。

(1)総合エネルギー統計によれば、令和2年度(2020年度)の日本の総発電電力量は約1兆kW・hである。このうち、再生可能エネルギーの発電電力量の占める割合は約何割であるか、有効数字一桁で答えよ。

(2)温室効果ガスの排出削減のため、今後も再生可能エネルギーを最大限導入する必要がある。この場合において、太陽光発電及び風力発電の導入拡大を図っていくに当たって、電力系統に生じる技術的課題を電力需要、送配電設備容量及び安定度の三つの視点から、それぞれ70字程度で述べよ。

解答・解説

小問(1):日本の総発電電力量のうち再生可能エネルギーの発電電力の占める割合

(試験センター 解答)

2割

出展:令和4年度 第2種電気主任技術者 2次試験 標準解答

環境エネルギー政策研究所の統計データ

この手の問題は、知らないと解けない問題ですし、対策するにも何が出題されるのか、何年度の内容が問われるか不明なため、対策するうえであまり気にしなくてもいいでしょう。当日考えて回答するには、さすがに無理があります。

調べたところ、「環境エネルギー政策研究所」にわかりやすいグラフがありました。解図1に示す通り、固定価格買い取り制度(FIT)などによって再生可能エネルギーの導入量は増大しており、2020年時点では20%程度となっていますので、2割とピンポイントで解答できれば正解になります。傾向的に莫大に増えている感じもないので、今回のように有効数字1桁と聞かれれば、今後数年間は2割で正解になるものと思います。

解図1 (出展:環境エネルギー政策研究所

小問(2):太陽光発電・風力発電の導入拡大に伴う電力系統の技術的課題

(試験センター 解答)

①電力需給

再生可能エネルギーの発電量は,天候や季節により変動してコントロールが難しいため,調整力が不足すると需給バランスに問題が生じる。

②送配電設備容量

電力需要が少ないエリアなどで再生可能エネルギーが大量に導入されると,既存の一部の送電線や連系線の設備容量が不足し,送電に問題が生じる。

③安定度

非同期電源である太陽光発電などが大量に導入され,火力発電等の同期電源の割合が減少すると,系統全体の慣性力・同期化力が減少し,事故時の安定度に問題が生じる。

出展:令和4年度 第2種電気主任技術者 2次試験 標準解答

電力需要の技術的課題

大前提として、電力は発生と消費が同時に行われなければなりません。

このバランスが崩れた場合、周波数が変動します。

例えば、発電量が上回れば、余ったエネルギーが発電所のタービンを加速し運動エネルギーとして消費されますし、発電が足りなければ、タービンの回転数が減少し、タービンの保有する運動エネルギーを電気エネルギーに変えて送電してしまいます。

太陽光発電や風力発電は、発電してほしい時に発電してくれるとは限りませんし、電気が不要なときに逆に発電していたりと、需要に対して無関係に発電するため、需給バランスが著しく悪くなります。

最近では、ダックカーブがあります。

通常の場合は日中に電力需要が増し、夜間には電力需要が減少する、山なりの需要になっていました。

しかし、太陽光発電が導入されると、日中にあまりにも太陽光発電の発電力が多すぎるため、発電所が送出する電力を抑制しなければならず、解図2に緑で示すような需要になります。

現時点では日中に揚水発電で消費するほか、火力発電を停止・抑制し、夕方一気に起動・出力増で対応をしていますが、いずれは限界が来ます。

解図2 (出展:九州電力

送配電設備容量の技術的課題

送電線の末端など、送電容量が小さい地域で大規模な太陽光発電や風力発電が導入されれば、送電容量が不足することになります。

参考に、北海道電力の送電網を紹介します。

北海道電力では、札幌周辺に電力需要が集中するため、札幌や、その周辺の小樽・函館・苫小牧付近に発電所が集中しています。

これにより、高電圧の系統も札幌周辺に集中しています。

一方、稚内付近は送電線の電圧も低く、送電容量が小さいです。

この状況で稚内に再生可能エネルギーが大量導入されれば、送電容量の不足を生じます。

出展:電力広域的運営機関

安定度の技術的課題

先に説明したように、既存の火力発電所などは需給バランスの一致を行うように制御をしていますが、実際には微小な変動などはタービン発電機の回転エネルギーによる細かな吸収・放出のもとに成り立っている部分もあります。一方の太陽光発電は、インバーターによって交流出力をしているので、慣性力はありません。

この状況において火力発電所が少なくなれば、系統全体の慣性効果も小さくなることになるので、同期化力が低下し、事故時の安定度に問題が生じます。

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