高圧受電設備の保護について、次の問に答えよ。
(1)高圧受電設備の主遮断装置と保護の方式について、受電設備容量300kV・A以下とそれ以上に分けて、それぞれ130字程度以内で記載せよ。
(2)地絡方向リレー(DGR)と地絡リレー(GR)の地絡事故に対する動作原理の違いを、150字程度以内で記載せよ。
目次
解答・解説
小問(1):高圧受電設備の主遮断装置と保護の方式
(試験センター 解答)
受電設備容量 300 kV・A 以下の主遮断装置には,高圧限流ヒューズ(PF)と負荷開閉器(LBS 又は S)を組み合わせた方式が主に用いられる。
地絡事故が発生したときは地絡リレー(GR)又は地絡方向リレー(DGR)で検出し開閉器をトリップ(※)させ,短絡事故のときは,短絡電流が大電流であるため PF で遮断する。
300 kV・A 以上の主遮断装置には,真空遮断器(VCB)などの遮断器(CB)と地絡・短絡などのリレーを組み合わせた方式が主に用いられる。地絡,短絡などの事故,あるいは過負荷が発生したときは,GR 又は DGR,過電流リレー(OCR)などで検出(※)し CB を遮断させ設備を保護する。
※地絡事故時の保護は,PAS の取り付けに言及した場合,PAS を遮断も可
- 地絡リレー(GR)は,地絡過電流リレー(OCGR)でも可
- 負荷開閉器は,高圧交流負荷開閉器でも可
CB型とPF・S型
CB型は300kV・A以上に用いられる主遮断形式で、高圧交流遮断器(主として真空遮断器(VCB))が採用されています。
地絡事故時には地絡リレーや地絡方向リレーで、短絡事故に対しては過電流リレーで検出し、高圧交流遮断器で遮断します。
PF・S型は、高圧限流ヒューズと高圧交流負荷開閉器によって遮断します。高圧交流負荷開閉器には、短絡電流を遮断できるだけの機能はありません。
地絡電流は地絡継電器によって高圧交流負荷開閉器を動作させ、短絡電流に対しては高圧限流ヒューズが溶断することによって遮断します。
設備が小さいので、300kV・A以下の小規模な受電設備で採用されています。
小問(2):地絡方向リレーと地絡リレーの地絡事故に対する動作原理の違い
(試験センター 解答)
DGRは,零相電圧検出器(ZPD)で零相電圧($V_0$),零相変流器(ZCT)で零相電流($I_0$)を同時に検出する。また,$V_0$と $I_0$の位相から地絡電流の方向を判別することで,地絡事故が自家用構内側か構外側かを区別している。
GRは,ZCTのみしか使用していないため,一定以上の$I_0$が流れた場合に地絡事故の判定をする。零相電流の値のみのため,誤作動の可能性がある。
地絡方向リレーは、零相電圧検出器で零相電圧を、零相変流器で零相電流を検出し、零相電圧の位相と零相電流の位相から、
- 需要家の内部で起こったのか
- 需要家の外側で起こったのか
を判断し、需要家の内部で事故が発生したと判断したときのみ動作します。
一方で、地絡リレーは、零相変流器のみを使用し、一定以上の零相電流が流れたときに事故判定をします。
零相電流のみのため、地絡事故の発生方向(需要家の内か外か)を判定できないため、需要家の外の事故に対しても動作するような誤動作を起こす可能性があります。
特に、需要家構内の対地静電容量が大きい時、配電線の故障によって不要動作する可能性が高くなります。
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