令和4年度 電験2種 2次試験 機械・制御 問4の過去問解説(自動制御 フィードバック制御系の安定判別と偏差に関する計算問題)

図に示すフィードバック制御系について、次の問に答えよ。ただし、$R\left(s\right)$は目標値、$Y\left(s\right)$は制御量、$E\left(s\right)$は制御偏差であり、時間信号$r\left(t\right)$、$y\left(t\right)$、$e\left(t\right)$をそれぞれラプラス変換したものである。

(1)フィードバック制御系の特性方程式を求めよ。

(2)フィードバック制御系を安定とする$K$の条件を求めよ。

(3)目標値$R\left(s\right)$から制御偏差$E\left(s\right)$までの伝達関数$T_{ER}\left(s\right)$を求めよ。

(4)$K=2$とおく。目標値$r\left(t\right)$を傾き2でランプ変化させたときの定常速度偏差$e_v$を求めよ。

(5)$K=2$とおく。正弦関数$2sint$で表される目標値$r\left(t\right)$に対し、定常状態での制御偏差$e\left(t\right)$は$Bsin\left(t+\theta\right)$で表される正弦関数となった。$B$の値を求めよ。


解答・解説

小問(1)

問題のフィードバック制御系のブロック線図において、

  • 前向き伝達関数
  • 一巡伝達関数

は解図1の通りになる。

解図1

特性方程式は、

$$1+一巡伝達関数=0\tag{1}$$

であるので、

$$1+\frac{K}{s}・\frac{100}{\left(s+1\right)\left(s+40\right)}=0\tag{2}$$

$$s\left(s+1\right)\left(s+40\right)+100K=0\tag{3}$$

$$s^3+41s^2+40s+100K=0\tag{4}$$

となる。

(答)$s^3+41s^2+40s+100K=0$

■おさらい

小問(3)でも登場しますが、フィードバック制御系の伝達関数は、

$$\frac{前向き伝達関数}{1+一巡伝達関数}$$

なので、特性方程式とは、フィードバック制御系の伝達関数の分母に当たり、極配置など制御系の安定性を支配する多項式になります。

小問(2)

ラウス・フルビッツの安定判別法より、

$$\begin{matrix}
s^3 & 1 & 40 \\
s^2 & 41 & 100K \\
s^1 & -\frac{1}{41}\left(100K-1640\right) & 0 \\
s^0 & 100K & 0
\end{matrix}\tag{5}$$

であるから、

$$\begin{cases}
-\frac{1}{41}\left(100K-1640\right)>0\\
100K>0
\end{cases}\tag{6}$$

であるので、フィードバック制御系が安定である条件は、

$$0<K<16.4\tag{7}$$

となる。

(答)$0<K<16.4$

■フルビッツの安定判別法で解く場合
$$\Delta_{33}=\left|\begin{matrix}41&100K&0\\1&40&0\\0&41&100K\\\end{matrix}\right|$$

であるので、

$$\Delta_{11}=41>0$$

$$\begin{align}
\Delta_{22}&=\left|\begin{matrix}41&100K\\1&40\\\end{matrix}\right|\\
&=\left(41\times40\right)-\left(100K\times1\right)\\
&=1640-100K>0
\end{align}$$

$$\begin{align}
\Delta_{33}&=\left|\begin{matrix}41&100K&0\\1&40&0\\0&41&100K\\\end{matrix}\right|\\
&=41\left|\begin{matrix}40&0\\41&100K\\\end{matrix}\right|-\left|\begin{matrix}100K&0\\41&100K\\\end{matrix}\right|\\
&=164000K-10000K^2>0
\end{align}$$

となるので、

$$0<K<16.4$$

となる。

小問(3)

目標値$R\left(s\right)$から出力$Y\left(s\right)$までの伝達関数は、

$$\begin{align}
\frac{Y\left(s\right)}{R\left(s\right)}&=\frac{前向き伝達関数}{1+一巡伝達関数}\\
&=\frac{\frac{K}{s}・\frac{100}{\left(s+1\right)\left(s+40\right)}}{1+\frac{K}{s}・\frac{100}{\left(s+1\right)\left(s+40\right)}}\\
&=\frac{100K}{s\left(s+1\right)\left(s+40\right)+100K}\\
&=\frac{100K}{s^3+41s^2+40s+100K}\tag{8}
\end{align}$$

となる。

また、制御偏差$E\left(s\right)$と出力$Y\left(s\right)$の関係は、

$$E\left(s\right)=R\left(s\right)-Y\left(s\right)\tag{9}$$

であるから、$Y\left(s\right)$を消去して、

$$\begin{align}
E\left(s\right)=R\left(s\right)-\frac{100K}{s^3+41s^2+40s+100K}R\left(s\right)\\
=\frac{s^3+41s^2+40s}{s^3+41s^2+40s+100K}R\left(s\right)\tag{10}
\end{align}$$

すなわち、

$$\begin{align}
T_{ER} \left(s\right)&=\frac{E\left(s\right)}{R\left(s\right)}\\
&=\frac{s^3+41s^2+40s}{s^3+41s^2+40s+100K}\tag{11}
\end{align}$$

となる。

(答)$T_{ER}\left(s\right)=\frac{s^3+41s^2+40s}{s^3+41s^2+40s+100K}$

小問(4)

題意より、$K=2$であるため、

$$\begin{align}
T_{ER} \left(s\right)&=\frac{E\left(s\right)}{R\left(s\right)}\\
&=\frac{s^3+41s^2+40s}{s^3+41s^2+40s+200}\tag{12}
\end{align}$$

となる。

また、目標値は傾き2のランプ変化であるので、

$$r\left(t\right)=2t\tag{13}$$

であるから、ラプラス変換すれば、

$$R\left(s\right)=\frac{2}{s^2}\tag{14}$$

となる。

以上より、制御偏差は、

$$\begin{align}
E\left(s\right)&=T_{ER} \left(s\right)R\left(s\right)\\
&=\frac{s^3+41s^2+40s}{s^3+41s^2+40s+200}・\frac{2}{s^2}\\
&=2\frac{s^2+41s+40}{s\left(s^3+41s^2+40s+200\right)}\tag{15}
\end{align}$$

となる。
求めるべきは定常速度偏差$e(∞)$であるから、最終値の定理より、

$$\begin{align}
e\left(\infty \right)&=\lim_{s→0} sE\left(s\right)\\
&=\lim_{s→0} s・2\frac{s^2+41s+40}{s\left(s^3+41s^2+40s+200\right)}\\
&=\frac{2×40}{200}\\
&=0.4\tag{16}
\end{align}$$

となる。
(答)$0.400$

小問(5)

小問(4)において、制御偏差は、

$$\begin{align}
E\left(s\right)&=T_{ER} \left(s\right)R\left(s\right)\\
&=\frac{s^3+41s^2+40s}{s^3+41s^2+40s+200}R\left(s\right)\tag{17}
\end{align}$$

で示されることを導いた。

また、目標値として正弦波信号を入力するので、式(17)において周波数領域に変換すれば、$s=j\omega$で置き換えればいいので、

$$\begin{align}
E\left(j\omega\right)&=\frac{\left(jω\right)^3+41\left(jω\right)^2+40・jω}{\left(jω\right)^3+41\left(jω\right)^2+40・jω+200}R\left(jω\right)\\
&=\frac{-41ω^2+j\left(-ω^3+40ω\right)}{-41ω^2+200+j\left(-ω^3+40\right)}R\left(jω\right)\tag{18}
\end{align}$$

であるから、目標値から制御偏差までの周波数伝達関数$G\left(j\omega\right)$は、

$$\begin{align}
G\left(jω\right)&=\frac{E\left(jω\right)}{R\left(jω\right)}\\
&=\frac{-41ω^2+j\left(-ω^3+40ω\right)}{-41ω^2+200+j\left(-ω^3+40\right)}\tag{19}
\end{align}$$

となる。

$$r\left(t\right)=2sint\tag{20}$$

であるから、$\omega=1$とわかるので、式(19)は、

$$G\left(j1\right)=\frac{-41+j39}{159+j39}\tag{21}$$

となる。

したがって、$R\left(j1\right)$が、$\left|G\left(j1\right)\right|$倍されて出力されるので、正弦波入力の振幅が2であることも含めると、

$$\begin{align}
B&=2・\left|G\left(j1\right)\right|\\
&=2・\left|\frac{-41+j39}{159+j39}\right|\\
&=2・\frac{\sqrt{\left(-41\right)^2+39^2}}{\sqrt{159^2+39^2}}\\
&=0.69128488008\tag{22}
\end{align}$$

となる。

(答)$B=0.691$

参考に$\theta$も求めてみます。

周波数応答について、周波数伝達関数の偏角は、入出力間の位相差としてそのまま表れるので、

$$\begin{align}
\theta&=\angle G\left(j1\right)\\
&=tan^{-1}\frac{39}{-41}-tan^{-1}\frac{39}{159}\\
&=-1.01477\left[{\rm rad}\right]\\
&=-58.1421\left[{\rm °}\right]
\end{align}$$

となります。

※$tan^{-1}$の計算は、電験用の電卓では計算できません。

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