【R2 電験2種 2次 機械・制御 問3】パワーエレクトロニクス 単相フルブリッジインバータの動作解析

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この記事では、令和2年度 電験2種 2次試験 機械・制御 問3の過去問解説をします。

この問題はパワーエレクトロニクス分野の単相フルブリッジインバータに関する問題で、波形の記入も含めた動作解析を行う問題になっています。

PWM制御を使用していないタイプの単相フルブリッジインバータであり、矩形波の交流出力となりますが、基本波を計算する問題が登場します。

また、デッドタイム期間中にインダクタを起点とする電流がダイオードを通して還流する際の電流経路も問われています。

落ち着いて解けば十分完答も狙えるもんだ良いですし、比較的パワーエレクトロニクスの基礎的な問題といえるので、問題解説を読んでマスターしてください。

令和2年度 電験2種 2次試験 機械・制御 問3の問題文

図1は直流電圧$E_d$(直流電源E)の単相インバータに誘導性負荷を接続した回路を示す。また、図2には、$\frac{2\pi}{3}$の位相差がある$u$, $v$相のノッチ波$N_u$と$N_v$と、直流中間電圧点0と出力端子$u$との間の$u$相電圧$v_{u0}$の波形を示す。ノッチ波は、上アームにオン信号を与えるときに1、下アームにオン信号を与えるときに0とする。このインバータの動作に関して、次の問に答えよ。

(1)図2に示す位相$\omega t_0$において、スイッチングデバイス$Q_1$, $Q_2$, $Q_3$及び$Q_4$のうち、オン信号が与えられているデバイスを答えよ。

(2)図2が答案用紙にも示されている。電圧が変化するタイミングと電圧の大きさが明確に分かるように、上から4段目には$v$相電圧$v_{v0}$を、最下段には負荷電圧$v_{uv}$の波形を答案用紙に示せ。

(3)小問(2)の運転において、負荷は誘導性であるので、負荷電圧$v_{uv}$が零になった直後も負荷電流$i_0$はすぐに零にならず、それ以前の電流の方向に流れ続ける。$i_0>0$で、$v_{uv}$が零になった直後に継続する電流の経路はどのようになるか、例えば$L-D_3-E-D_2-R-L$のように$L$を起点、終点とする回路要素を結んだループで、経路を示せ。同様に、$i_0<0でv_{uv}$が零になった直後に継続する電流はどのような経路になるかを示せ。ただし、各回路要素は、負荷インダクタを$L$、負荷抵抗を$R$、スイッチングデバイス$Q_1$~$Q_4$、ダイオードを$D_1~D_4$、直流電源を$E$とする。

(4)図2に示す電圧$v_{u0}$は方形波電圧であり、この波形をフーリエ級数展開すると$v_{u0}=\frac{4}{\pi}・\frac{E_d}{2}\sum_{n=1}^{\infty}\frac{sin\left[\left(2n-1\right)ωt\right]}{2n-1}$と表される。$v_{u0}$に含まれる基本波成分の瞬時値$v_{u0f}\left(\omega t\right)$を$E_d$、関数$sin$及び角周波数$\omega$を用いた式で示せ。

(5)負荷電圧$v_{uv}$は$v_{uv}=v_{u0}-v_{v0}$である。$v_{uv}$に含まれる基本波成分の瞬時値$v_{uvf}\left(\omega t\right)$を$E_d$、関数$sin$及び角周波数$\omega$を用いた式で示せ。また、その実効値$V_{uvf}$は$E_d$の何倍となるか、その値を示せ。

図1 単相インバータ

図2 波形

解答・解説

小問(1)

ノッチ波のタイミングチャートより$N_u$, $N_v$ともに1であるため、$u$、$v$のどちらも上アームのスイッチがオンになっている。そのため、オン信号が与えられているのは$Q_1$と$Q_3$になる。

(答)$Q_1$と$Q_3$

小問(2)

タイミングチャートは解図1に示す通りになる。

解図1

ポイントとしては、$v_{v0}$はノッチ波$N_v$と連動して

  • $N_v=1→v_{v0}=+\frac{E_d}{2}$
  • $N_v=0→v_{v0}=-\frac{E_d}{2}$

であることと、$v_{uv}=v_{u0}-v_{v0}$であり、

  • $v_{u0}=+\frac{E_d}{2}、v_{v0}=-\frac{E_d}{2}→v_{uv}=E_d$
  • $v_{u0}=-\frac{E_d}{2}、v_{v0}=+\frac{E_d}{2}→v_{uv}=-E_d$
  • $v_{u0}=v_{v0}=\pm\frac{E_d}{2}→v_{uv}=0$

となります。

小問(3)

(i) $i_0>0$のとき

遅れの負荷電流$i_0$が正のときなので、直前の電圧も正でありこれは解図2に示すように、$Q_1$と$Q_4$がオンしていた状況に対応する。

解図2

次のタイミングで$Q_4$がオフとなり$Q_3$がオンとなり0[V]を印加するが、この時にも正の負荷電流が流れ続ける。

ここで、インダクタ$L$を起点とする還流ルートを考えれば解図3のとおりとなる。

解図3

よって、$L-D_3-Q_1-R-L$となる。

(ii) $i_0<0$のとき

遅れの負荷電流$i_0$が負のときなので、直前の電圧も負でありこれは解図4に示すように、$Q_2$と$Q_3$がオンしていた状況に対応する。

解図4

次のタイミングで$Q_3$がオフとなり$Q_4$がオンとなり0[V]を印加するが、この時にも負の負荷電流が流れ続ける。

ここで、インダクタ$L$を起点とする還流ルートを考えれば解図5のとおりとなる。

よって、$L-R-Q_2-D_4-L$となる。

解図5

(答)$i_0>0$のとき$L-D_3-Q_1-R-L$、$i_0<0$のとき$L-R-Q_2-D_4-L$

小問(4)

問題文で示されている式

$$v_{u0}=\frac{4}{\pi}・\frac{E_d}{2} \sum_{n=1}^{\infty} \frac{sin\left[\left(2n-1\right)ωt\right]}{2n-1}$$

において、基本波成分とは、角周波数が$\omega$に対応する部分である。これは$n=1$のときで、

$$\begin{align}
v_{u0f}\left(ωt\right)&=\frac{4}{\pi}・\frac{E_d}{2}\frac{sin\left[\left(2・1-1\right)ωt\right]}{2・1-1}\\
&=\frac{4}{\pi}・\frac{E_d}{2}sinωt\\
&=\frac{2}{\pi}E_dsinωt
\end{align}$$

となる。

(答)$v_{u0f}\left(\omega t\right)=\frac{2}{\pi}E_dsin\omega t$

小問(5)

v点の方形波電圧は、u点の方形波電圧に対して$\frac{2}{3}\pi$の遅れがある。

このため、$v$点の基本波電圧$v_{v0f}\left(\omega t\right)$について、

$$v_{v0f}\left(ωt\right)=\frac{2}{\pi}E_dsin\left(ωt-\frac{2}{3}\pi\right)$$

となる。

以上より、

$$\begin{align}
v_{uvf}\left(\omega t\right)&=v_{u0f}\left(\omega t\right)-v_{v0f}\left(\omega t\right)\\
&=\frac{2}{\pi}E_dsin\omega t-\frac{2}{\pi}E_dsin\left(\omega t-\frac{2}{3}\pi\right)\\
&=\frac{2}{\pi}E_d\left(sin\omega t+\frac{1}{2}sin\omega t+\frac{\sqrt3}{2}cos\omega t\right)\\
&=\frac{2}{\pi}E_d\left(\frac{3}{2}sin\omega t+\frac{\sqrt3}{2}cos\omega t\right)\\
&=\frac{2}{\pi}E_d・\sqrt{3}\left(\frac{\sqrt{3}}{2}sinωt+\frac{1}{2}cosωt\right)\\
&=\frac{2}{\pi}E_d・\sqrt{3} \left(sinωtcos\frac{\pi}{6}+cosωtsin\frac{\pi}{6}\right)\\
&=\frac{2}{\pi}E_d・\sqrt{3}sin\left(ωt+\frac{\pi}{6}\right)\\
&=\frac{2\sqrt{3}}{\pi}E_dsin\left(ωt+\frac{\pi}{6}\right)
\end{align}$$

となる。

基本波成分の実効値は、

$$\frac{2\sqrt{3}}{\pi}E_d・\frac{1}{\sqrt{2}}=\frac{\sqrt{6}}{\pi}E_d$$

であり、$E_d$に対して、$\frac{\sqrt6}{\pi}$倍となる。

(答)$E_d$に対して、$\frac{\sqrt6}{\pi}$倍

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