令和5年度 電験3種 機械 問5
三相同期発電機の短絡比に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 短絡比を小さくすると、発電機の外形寸法が小さくなる。
(2) 短絡比を小さくすると、発電機の安定度が悪くなる。
(3) 短絡比を小さくすると、電圧変動率が小さくなる。
(4) 短絡比が小さい発電機は、銅機械と呼ばれる。
(5) 短絡比が小さい発電機は、同期インピーダンスが大きい。
解答・解説
正解(3)
(1)正しい
短絡比を小さくするには、鉄心を小さく、巻数を多くする必要があり、一般的に同期機は小型になります。
よって正しい記述です。
(2)正しい
短絡比が小さければ、同期機の安定度は低くなります。
よって正しいです。
なお、短絡比が小さければ、短絡故障時に流れる電流が小さくなるので、遮断器の容量を小さくできるメリットがあります。
(3)誤り
短絡比が小さければ、同期機の同期インピーダンスが大きくなることになります。
電圧変動率は、同期インピーダンスが大きくなると増加するので、この記述は誤りになります。
(4)正しい
短絡比が小さい発電機は銅機械と呼ばれ、短絡比が大きい発電機は鉄機械と呼ばれます。
(5)正しい
短絡比と同期インピーダンスは逆数の関係にあります。
よって、短絡比が小さければ同期インピーダンスは大きくなります。よって正しい記述です。
短絡比についてのワンポイントアドバイスです。
●短絡比と%同期インピーダンスの関係
$$短絡比=\frac{1}{\%\mathrm{同期インピーダンスp.u.}}$$
●短絡比の意味
三相短絡故障が発生した時に、基準電流の何倍の短絡電流が流れるかを示す値。短絡比が大きければそれだけ大きな短絡電流が流れるので、大容量の遮断機が必要になる。(電験2種では、短絡電流を規定値以内に制限するような発電機インピーダンスを設定する問題もある。)
●短絡比と電力系統の安定度
短絡比が大きいほど、電力系統の安定度は向上する。
●鉄機械と銅機械
短絡比を大きくするには鉄心を大きくする(鉄機械)。短絡比を小さくするには巻数を多くする(銅機械)。