令和5年度 上期 電験3種 機械 問17の過去問解説
熱伝導について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
断面積が$2\mathrm{m^2}$、厚さが$30\mathrm{cm}$、熱伝導率が$1.6\mathrm{W/\left(m⋅K\right)}$の両表面間に温度差がある壁がある。ただし、熱流は厚さ方向のみの一次元とする。
(a) この壁の厚さ方向の熱抵抗$R$の値$\left[\mathrm{K/W}\right]$に最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)0.041 7 (2)0.093 8 (3)0.267 (4)2.67 (5)4.17
(b) この壁の低温側の温度$t_2$が20℃のとき、この壁の熱流$\Phi$が$100\mathrm{W}$であった。このとき、この壁の高温側の温度$t_1$の値$\left[\mathrm{℃}\right]$に最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)21.0 (2)22.1 (3)24.2 (4)29.4 (5)46.7
解答・解説
正解(a):(2)、(b):(4)
(a)
熱抵抗は電気回路の抵抗と同様に計算できて、
$$R=\frac{0.3}{1.6\times2}=0.09375\left[\mathrm{K/W}\right]$$
となります。
よって、正解は(2)になります。
(b)
熱に関するオームの法則は、熱流$\phi\left[\mathrm{W}\right]$、温度差$\theta\left[\mathrm{K}\right]$、熱抵抗$R\left[\mathrm{K/W}\right]$とすれば、
$$\phi=\frac{\theta}{R}=\frac{t_1-t_2}{R}$$
で計算できます。
値を代入すれば、
$$t_1-t_2=IR=100\times0.09375=9.375\left[\mathrm{K}\right]$$
となります。
よって、
$$t_1=20+9.375=29.375\left[\mathrm{℃}\right]$$
となります。
よって、正解は(4)になります。
熱流の計算に関する重要ポイントです。
●熱回路のオームの法則
$$\Phi=\frac{T_2-T_1}{R_t}$$
ここで、$\Phi$は熱流$\left[\mathrm{W}\right]$、$R_t$は熱抵抗$\left[\mathrm{K/W}\right]$、$T_2-T_1$は高温側と低温側の温度差です。
そして、熱抵抗は、断面積$A\left[\mathrm{m^2}\right]$、長さ$l\left[\mathrm{m}\right]$、熱伝導率$\left[\mathrm{W/\left(m・K\right)}\right]$として、
$$R_t=\frac{l}{\lambda A}$$
と計算できます。
熱伝導率は、電気回路における導電率に対応することが分かります。