三相誘導電動機の等価回路の導出

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今回は、三相誘導電動機の等価回路について紹介します。

誘導電動機の等価回路は、基本的には変圧器の等価回路に似た感じのものとして覚えてしまうのが一般的かと思います。

しかし、導出まで含めて考えることで、電気機器を考える上でのセンスを磨くことができると思うので、ここでは変圧器の等価回路から出発し、滑りを考慮した誘導電動機のT型等価回路、さらに簡単化されたL型等価回路の導出までを行います。

では、記事が長くなりますが、説明をしていきます。

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三相誘導電動機 等価回路の導出(T型, L型)

三相誘導電動機は動作として、

  • 固定子巻線で回転磁界が発生
  • 回転子で誘導起電力が発生し電流が流れる

という原理から、1次側に交流を印加すると2次側で交流起電力が発生する点において、実質的に変圧器と同じです。

そのため、誘導電動機は変圧器としてみることができます。

では、変圧器の等価回路から、三相誘導電動機のT型等価回路を導出してみます。

回転停止時の誘導電動機の等価回路

まず、誘導電動機の回転を停止させた状態で、固定子に三相交流を印加します。

この時、固定子では回転磁界が発生することで、2次側のとなる回転子に誘導起電力が発生します。

※回転子は停止を仮定しているのですべり$s=0$であり、すべりを考慮する必要がないのがポイントです。

この時、変圧比をaとおけば、等価的に変圧器と全く同じ状況となるので、変圧器のように以下の回路図で表現することができます。

ここで???となった方は、変圧器の等価回路の説明記事をご覧ください。

変圧器の等価回路について

回転時の誘導電動機の等価回路

では、回転子のロックを外し、回転子が回転している状況を考えます。

この時、

  • 回転磁界は同期速度で回転:$f_0$[Hz]
  • 回転子はすべり$s$で回転

となれば、回転子に印加される回転磁界の周波数は、$f_0-(1-s)f_0=sf_0$[Hz]となります。

2次側に印加される回転磁界の周波数が変化すると、

  • 2次側起電力:$4.44k_2f_2\Phi_mN_2$(周波数$f_2$に比例)
  • 2次側インダクタンス:$2\pi f_2L_2$(周波数$f_2$に比例)

より、2次側起電力、2次側インダクタンスが$s$倍されます。

その回路図が下になります。

ここで、2次側起電力が$sE_2$では後々面倒になるので、2次側電流$\dot{I_2}$を保ったまま、2次側起電力$\dot{E_2}$にします。

この場合、電圧が$\frac{1}{s}$倍になるので、インピーダンス分($x_2$, $r_2$)を$\frac{1}{s}$すればいいことになり、下の回路図になります。

誘導電動機のT型等価回路

ここまでくれば、誘導電動機のT型等価回路は簡単に導出できますね。

変圧比をaとすると、下の回路図になります。

誘導電動機のL型等価回路

さて、三相誘導電動機は変圧器で置き換えることができますが、変圧器で置き換えることができるということは、L型等価回路を適用することができます。

誘導電動機の励磁電流は、変圧器同様、負荷電流よりも小さく無視できるので、一般的には計算が簡単になるL型等価回路で計算します。

電気主任技術者試験でも、2種や3種ではL形等価回路が基本です。

変圧器等価回路との相違点

ここで、変圧器の等価回路との相違点をまとめておきます。

  • 基本変圧比は$\frac{E_1}{sE_2}$
    ※等価変圧器では変圧比を$\frac{E_1}{E_2}$と置くのでs倍の差が生じます。
  • 2次回路の周波数はs倍される
    →インダクタンスはs倍される

変圧比がすべりsに依存するということは、回転速度によって2次側起電力が変化するということです。

参考

これより、以下のことがわかります(電験1種, 2種の論説問題の対策になります。)。

■始動時$s=1$のとき最大起電力

始動電流が大きいので、始動時には2次抵抗の挿入(巻き線型誘導電動機)や深溝型回転子(かご型誘導電動機)などの対策が必要になる。

■同期速度$s=0$になれば、2次側回路の起電力は0V

負荷電流0でトルク0、すなわち同期速度以上には加速しないことを意味します。

まとめ

ここまで、誘導電動機の等価回路の導出について説明してきました。

等価回路の導出は変圧器と比較してややこしい部分がありますが、基本的な部分だけ理解してしまえばすんなりと理解できるでしょう。

等価回路は誘導電動機を考えるベースになりますから、確実に理解しておいてください。

以上、誘導電動機の等価回路と特性計算について参考になれば幸いです。

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