同期発電機の出力式【ベクトル図からの導出】

みなさん、こんにちは!

ブリュの公式ブログ.org(for Academic Style)にお越しいただきまして、ありがとうございます!

今回は、同期発電機の出力式の導出について解説していきます。

▼おすすめ記事▼

同期機の解説記事一覧と電験過去問の出題例
同期機の解説記事一覧と、電験の過去問の出題例をまとめました。 資格試験対策にご活用ください。

同期発電機の出力式

同期発電機の出力式は、

$$P=\frac{E_0V}{Z_s}sin\delta\tag{1}$$

ただし、

  • $E_0$:無負荷誘導起電力
  • $V$:端子電圧
  • $Z_S$:同期インピーダンス
  • $\delta$:負荷角

となります。

式(1)から明らかなとおり、負荷角$\delta=\frac{\pi}{2}$のとき$sin\delta=1$となり、出力$P$が最大になります。

同期発電機の出力式の導出

同期発電機の等価回路とベクトル図

同期発電機の等価回路は、以下のような回路図になります。

図1 同期発電機の回路図(1相分)

これをもとに、ベクトル図は、図2のようになります。

図2 同期発電機のベクトル図

図2において、

  • $\dot{E_0}$:無負荷誘導起電力
  • $\dot{V}$:端子電圧
  • $\dot{Z_S}=r_0+jx_0$:同期インピーダンス
  • $\delta$:負荷角

実軸の値の計算

同期発電機のベクトル図より、式を立てていきます。

まずは、実軸についてみていきましょう。

図3 同期発電機の出力式の導出(実軸の値)

図3のベクトル図より、実軸について、

$$V+Z_sIcos(\alpha-\theta)=E_0cos\delta\tag{2}$$

となります。

式(2)を加法定理で展開すれば、

$$V+Z_sI(cos\alpha cos\theta+sin\alpha sin\theta)=E_0cos\delta\tag{3}$$

式(3)の両辺に$cos\alpha$をかけて、

$$Vcos\alpha+Z_sI(cos^2\alpha cos\theta+sin\alpha cos\alpha sin\theta)=E_0cos\alpha cos\delta\tag{4}$$

整理して、

$$Z_sI(cos^2\alpha cos\theta+sin\alpha cos\alpha sin\theta)=E_0cos\alpha cos\delta-Vcos\alpha\tag{5}$$

となります。

虚軸の値の計算

次に虚軸について見ていきます。

図3 同期発電機の出力式の導出(虚軸)

上のベクトル図より、

$$Z_sIsin(\alpha-\theta)=E_0sin\delta\tag{6}$$

加法定理で展開して、

$$Z_sI(sin\alpha cos \theta – cos\alpha sin\theta)=E_0sin\delta\tag{7}$$

両辺に$sin\alpha$をかけて、

$$Z_sI(sin^2\alpha cos \theta – sin\alpha cos\alpha sin\theta)=E_0sin\alpha sin\delta\tag{8}$$

となります。

同期発電機の出力式

実軸は式(5)より、

$$Z_sI(cos^2\alpha cos\theta+sin\alpha cos\alpha sin\theta)=E_0cos\alpha cos\delta-Vcos\alpha\tag{再掲5}$$

虚軸は式(8)より、

$$Z_sI(sin^2\alpha cos \theta – sin\alpha cos\alpha sin\theta)=E_0sin\alpha sin\delta\tag{再掲8}$$

なので、和を計算すれば、

$$Z_sI(cos^2\alpha cos\theta +sin^2\alpha cos\theta)=E_0cos\alpha cos\delta -Vcos\alpha +E_0sin\alpha sin\delta\tag{9}$$

ここで、式(9)について、

  • 左辺:$cos^2\alpha+sin^2\alpha=1$
  • 右辺:$cos\alpha cos\delta +sin\alpha sin\delta=cos(\alpha-\delta)$

より、

$$Z_sIcos\theta=E_0cos(\alpha-\delta) -Vcos\alpha \tag{10}$$

したがって、

$$Icos\theta=\frac{E_0}{Z_s}cos(\alpha-\delta) -\frac{V}{Z_s}cos\alpha \tag{11}$$

となります。

同期発電機の出力は、

$$P=VIcos\theta \tag{12}$$

であるので、式(12)の$Icos\theta$について、式(11)を代入して、

$$P=\frac{E_0V}{Z_s}cos(\alpha-\delta) -\frac{V^2}{Z_s}cos\alpha \tag{13}$$

となります。

$r_a<<x_s$の関係であれば、インピーダンス角$\alpha≒\frac{\pi}{2}$となるので、

$$P=\frac{E_0V}{Z_s}cos(\frac{\pi}{2}-\delta) -\frac{V^2}{Z_s}cos\frac{\pi}{2} \tag{14}$$

すなわち、

$$P=\frac{E_0V}{Z_s}sin\delta \tag{15}$$

となります。

まとめ

ここまで、同期発電機の出力式の導出を行ってきました。

ベクトル図が分かれば比較的簡単に求まるので、ご自身でベクトル図を描きながら計算してみてください。

ベクトル図を考えながら理解すると、一見難解に見える回路でも比較的あっさりと解けることが多いので、回路計算の実力が付きます。

また、同期発電機の出力式は、発電所~送電線~負荷までの式と本質的に同じなので、電験1種・2種の電力・管理(2次試験)対策にも有効です。

変圧器のパーセントインピーダンスも含め、機械・制御分野でありながら、電力・管理分野とも関係が深い部分なので、しっかりと理解しておきましょう。

以上、同期発電機の出力式の導出について、参考になれば幸いです。

同期機 解説記事一覧に戻る

スポンサーリンク
スポンサーリンク
電気機器
brionac-yu-yakeをフォローする
ブリュの公式ブログ.org(for Academic Style)
タイトルとURLをコピーしました