変圧器の効率と最大効率および全日効率について

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今回は、変圧器の効率と最大効率、および全日効率の計算方法について説明します。

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実測効率と規約効率

変圧器には、実測効率と規約効率という2つの効率があります。

$$実測効率=\frac{出力}{入力}$$

$$規約効率=\frac{出力}{出力+損失}$$

実測効率は、文字通り実際に入出力を測定して計算する効率です。

規約効率は、計算上で求められる効率になります。

電気主任技術者試験をはじめとするテスト問題では、入出力の測定なんてできませんから、当然規約効率を計算することになります。

以後、このページでは、規約効率の計算方法について説明を行います。

変圧器における可変損(銅損)と不変損(鉄損)

変圧器の損失には、鉄損と銅損があります。

可変損(銅損)

可変損とは、負荷が変化したときに一緒に変化する損失のことです。

例えば、負荷が変動すると、負荷電流が変化しますが、銅線の発熱量(損失=銅損)は負荷電流とともに変化します。

つまり、銅損のように負荷の変化とともに変化する損失を、可変損と呼びます。

変圧器の1次側に換算したL型等価回路で見てみましょう。

負荷電流は赤の線で描いたループ電流になるいます。

この負荷電流が変化すると、

  • 1次巻線:$r_1$
  • 2次巻線:$n^2r_2$

による損失が生じます。

これが、可変損です。

各種参考書では、可変損を銅損と表記しているものが多いですが、あまり正確ではないように思います。

確かに銅損は可変損ですが、可変損は銅損だけではありません。

この考え方は、後述する変圧器の最高効率の計算で効いてくる概念ですので、正確に理解したほうがいいでしょう。

不変損(鉄損)

変圧器の励磁電流など、負荷の有無にかかわらず発生する損失を、不変損といいます。

L型等価回路で見ると、励磁回路を流れる水色の電流ループが不変損(鉄損)になります。

負荷電流が変化しても、鉄損は変化しないので、負荷によらず一定の損失であることは、回路上からも明らかでしょう。

参考

変圧器の2次側を開放し、変圧器に接続している負荷が0であっても、二次側には電圧が発生しています。

この二次側の電圧は、変圧器の鉄心内部で時間変化する磁束によるものです。

磁束は、電流が流れることによって生じます。

この二次側に電圧を発生させるための電流が一次側に流れており、これが励磁電流であり鉄損ということになります。

励磁電流は一次側の損失であり、負荷の接続の有無にかかわらず、変圧器が動作している間は一定に発生している損失です。

なお、より厳密なT型等価回路で見た場合、励磁電流は1次側巻線インピーダンスにも流れていますが、励磁電流は負荷電流よりも小さいため、細かいことは無視されています。

変圧器の効率の計算と最大効率の導出

変圧器の効率計算

変圧器の効率は、次の式で計算ができます。

$$\$eta=\frac{Wcos\theta}{Wcos\theta+P_i+P_{cn}}$$

ここで、

  • $W$:出力
  • $cos\theta$:負荷力率
  • $P_i$:不変損(鉄損)
  • $P_{cn}$:全負荷時の可変損(銅損)

となります。

日本語で書き換えると、

$$効率=\frac{出力中の有効電力}{出力中の有効電力+鉄損+全負荷時の銅損}$$

となります。

出力は皮相電力ではなく、有効電力のみであることに注意してください。

変圧器の損失は、可変損と不変損だけですから、上記の効率の式は、当たり前といえば当たり前な式です。

ただ、可変損は電流の2乗に比例する、つまり皮相電力の2乗に比例するところが引っかけとしてよく出題されるので、ご注意ください。

可変損=銅損=$RI^2$と考えておけば、間違いを防げます。

最大効率と可変損, 不変損の関係

変圧器において、

  • 出力:$VIcon\theta$
  • 可変損:負荷電流の2乗に比例($RI^2$)
  • 不変損:一定($W$)

とします。

このとき、変圧器の効率$\eta$は、

$$\eta=\frac{VIcos\theta}{VIcos\theta+W+RI^2}$$

となります。

これを、分母分子を$I$で割ると、

$$\eta=\frac{Vcos\theta}{Vcos\theta+\frac{W}{I}+RI}$$

となります。

ここで、効率を最大にするのであれば、$\frac{W}{I}+RI$が最小になればOKです。

つまり、微分=0のタイミングで最大効率になるので、

$$y=\frac{W}{I}+RI$$

$$\frac{dy}{dI}=-\frac{W}{I^2}+R=0$$

つまり、$W=RI^2$の時に最大効率になります。

  • 可変損:負荷電流の2乗に比例($RI^2$)
  • 不変損:一定($W$)

ですから、可変損と不変損が等しくなった時に、最大効率になります。

変圧器だけであれば、銅損=鉄損の時最大効率を覚えておけば問題はないです。

しかし、可変損と不変損と覚えておけば、例として直流分巻発電機場合、

  • 可変損:電機子電流
  • 不変損:励磁電流

などといった切り分けも可能であり、応用が利くようになります。

お試しあれ。

変圧器の全日効率

変圧器の全日効率は、電力量に変換することで計算できます。

なお、鉄損については、変圧器の動作中は負荷に依らず一定に損失が発生するので、24時間を乗じています。

全日効率は例題を見たほうがわかりやすいので、例題を1問あげておきます。

全日効率の例題です。

定格出力50kVA、鉄損500W、全負荷銅損800Wの変圧器を、力率80%で1日のうち10時間だけ50%負荷で稼働させたときの全日効率は何%か?

1日の電力量$P$は、

  • 定格容量50kVA
  • 力率80%
  • 50%負荷
  • 10時間運転

より、

$$P=50×0.8×0.5×10=200kWh$$

銅損$P_c$は、全負荷銅損800W、50%負荷(皮相電力に対して50%であることに注意)より、

$$P_c=0.5^2×0.8=0.2kW$$

10時間運転より、1日の銅損による損失量は、$0.2×10=2kWh$

鉄損$P_i=500W$であり、鉄損は24時間一定なので、1日の鉄損による損失量は、$0.5×24=12kWh$

よって、

$$\eta=\frac{200}{200+12+2}=0.9345$$

よって答えは93.4%となります。

まとめ

ここまで、変圧器の効率、可変損(銅損)と不変損負(鉄損)、そして最大効率と全日効率の計算方法について紹介してきました。

変圧器の効率の計算は比較的イメージしやすい式になっていますが、銅損については皮相電力の2乗に比例することだけは気を付けてください。

あと、本文中で紹介しましたが、最大効率について、変圧器では銅損=鉄損の関係ですが、厳密には可変損=不変損と理解するほうが正確です。

この先、直流分巻発電機などの最大効率を考える際にも、この部分が大事になります。

以上、変圧器の効率計算について、参考になれば幸いです。

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