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今回は、自動制御の二次遅れ系について説明していきます。
目次
二次遅れ系の式
自動制御の分野で主要な項目になる、二次遅れ要素についてみていきます。
この二次遅れ要素には、共振という特徴的な性質があり、第1種および第2種 電気主任技術者試験 2次試験での出題頻度も非常に高いです。
二次遅れ要素の伝達関数は、式(1)で示されます。
$$G\left(s\right)=\frac{\omega_n^2}{s^2+2\xi\omega_ns+\omega_n^2} \tag{1}$$
式(1)において、
- $\xi$:減衰係数
- $\omega_n$:固有角周波数
と呼びます。
式(1)は「式の構造」必ず覚えてください。
特に電験2次試験の試験問題で、伝達関数を導いた後、「減衰係数$\xi$、固有角周波数$\omega_n$を求めよ。」と問う問題、および関連問題が頻出です。
こうした問題は、知っていれば解けるサービス問題です。
二次遅れ系の極と応答波形の概要
伝達関数の、分母=0となる$s$の値のことを、伝達関数の極といいます。
伝達関数を逆ラプラス変換するとき、部分分数分解によって既知のラプラス変換の形まで変形しますが、この時、分母を因数分解していました。
ここで、
$$\begin{matrix}
\mathcal{L}\left[e^{-at}\right]=\frac{1}{s+a} & \rightarrow & 極s=-a
\end{matrix}\tag{2}$$
$$\begin{matrix}
\mathcal{L}\left[cos\ \omega t\right]=\frac{1}{s^2+\omega^2} & \rightarrow & 極s=±j\omega
\end{matrix}\tag{3}$$
$$\begin{matrix}
\mathcal{L}\left[sin\ \omega t\right]=\frac{\omega}{s^2+\omega^2} & \rightarrow & 極s=±j\omega
\end{matrix}\tag{4}$$
となるので、極が虚数解を持つかどうかで、三角関数の振動があるかないかを見分けることができます。
二次遅れ要素は、こうした振動の有無について、減衰係数\xiの値によって、
- 極が実数解となるか
- 極が重解となるか
- 極が虚数解となるか
の場合分けして、詳細を見ていきます。
極による応答波形の違い
インパルス応答
インパルス応答は、$X\left(s\right)$にインパルス的な信号が入り、0に戻る場合です。
ノイズみたいな外乱が瞬間的に入ったときに、どんな挙動を示しながら0に戻るかです。
この時、制御系はすぐに0位置に戻ってきてほしいのですが、減衰係数や固有角周波数から計算される$\xi$の値によって、以下のような応答波形になります。
ここで、
- 橙:$\xi<1$(不足減衰)
- 緑:$\xi=1$(臨界減衰)
- 赤:$\xi>1$(過減衰)
です。
臨界減衰の時、出力は最も早く0位置に戻ります。
$\xi$の値が小さく、$\xi<1$の時不足減衰となり、振動しながら0位置に戻ります。
逆に$\xi$の値が大きく、$\xi>1$の時は過減衰となり、振動はしませんが、なかなら0位置に戻ってきません。
図2 二次遅れ系のインパルス応答
単位ステップ応答(インディシャル応答)
単位ステップ応答(インディシャル応答)は、入力信号が$X\left(s\right)$が0→1へ、ステップ状に変化した状況を想定しています。
この時、制御系はすぐに目標値に追従してほしいのですが、減衰係数や固有角周波数から計算される$\xi$の値によって、以下のような応答波形になります。
ここで、インパルス応答の時と同じで、
- 橙:$\xi<1$(不足減衰)
- 緑:$\xi=1$(臨界減衰)
- 赤:$\xi>1$(過減衰)
です。
臨界減衰の時、最も早く収束します。
$\xi$の値が小さく、$\xi<1$の時不足減衰となり、振動しながら収束します。
逆に$\xi$の値が大きく、$\xi>1$の時は過減衰となり、振動はしませんが、収束も遅くなります。
図3 二次遅れ系の単位ステップ応答(インディシャル応答)
まとめ
ここまで、
- 二次遅れ系の式
- 二次遅れ系における応答波形の概要
について説明してきました。
以上、二次遅れ系について参考になれば幸いです。
著者:ブリュの公式ブログ
出版:BOOKs Project
内容:ラプラス変換/$s$領域/周波数応答
(197ページ, カラー印刷)