主要な関数のラプラス変換表一覧と、ラプラス変換の計算例について。

みなさん、こんにちは!

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今回は、制御理論(特に古典制御)でよく使う、主要な関数のラプラス変換について解説します。

ラプラス変換表

ラプラス変換は、

$$\mathcal{L}\left[x(t)\right]=\int_{0}^{\infty}x(t)e^{-st}dt\tag{1}$$

で定義され、時間領域の関数について、式(1)の定義に従って計算すれば、$s$領域に変換できます。

一般的に、ラプラス変換は毎回計算せず、ラプラス変換表を暗記し既知の結果として使用します。

念のため一度は計算しておく必要はありますが、最終的には暗記してください。

時間関数 $s$領域
$\delta(t)$ 1
$u(t)$ $\frac{1}{s}$
$t$ $\frac{1}{s^2}$
$t^n$ $\frac{n!}{s^{n+1}}$
$e^{-at}$ $\frac{1}{s+a}$
$te^{-at}$ $\frac{1}{(s+a)^2}$
$cos\omega t$ $\frac{s}{s^2+\omega^2}$
$sin\omega t$ $\frac{\omega}{s^2+\omega^2}$
$\frac{dx(t)}{dt}$ $sX(s)-x(0)$
$\int x(t)dt$ $\frac{X(s)}{s}+\frac{x^{-1}(0)}{s}$
$e^{-at}cos\omega t$ $\frac{s+a}{(s+a)^2+\omega^2}$
$e^{-at}sin\omega t$ $\frac{\omega}{(s+a)^2+\omega^2}$

$s$領域から時間領域に戻す逆ラプラス変換は、ラプラス変換表を既知として取り扱います。

ラプラス変換表の暗記ができていなければ、逆ラプラス変換を行えませんので、確実に暗記しておいてください。

部分積分の計算法について

ラプラス変換の計算では、部分積分という計算手法を多用します。

高校・大学で習っている方も多いと思いますが、一度確認しておいてください。

関数$f$と$g$の積を微分すれば、

$$(fg)’=f’g+fg’\tag{2}$$

となりますが、

$$fg’=(fg)’-f’g\tag{3}$$

となり、両辺を積分すれば、

$$\int fg’dt=fg-\int f’gdt\tag{4}$$

となります。

ここで、積分対象の関数について、うまく$f$と$g’$を定めれば、一見難解な積分計算も行える場合があります。

例えば、

$$\int_{a}^{b} tlogtdt\tag{5}$$

を計算する場合、

$$\begin{matrix}
f=logt & g’=t\\
f’=\frac{1}{t} & g=\frac{1}{2}t^2
\end{matrix}\tag{6}$$

となるので、

$$\begin{align}
\int_{a}^{b} tlogtdt&=fg-\int f’gdt\\
&=\left[logt・\frac{1}{2}t^2\right]^{b}_{a}-\int_{a}^{b} \frac{1}{t}・\frac{1}{2}t^2dt\\
&=\frac{1}{2}\left(b^2logb-a^2loga\right)-\frac{1}{4}\left[t^2\right]^{b}_{a}\\
&=\frac{1}{2}\left(b^2logb-a^2loga\right)-\frac{1}{4}\left(b^2-a^2\right)\tag{7}
\end{align}$$

となって計算できるようになります。

主要な関数のラプラス変換

では、主要な関数である、

  • デルタ関数$\delta(t)$
  • ステップ関数$u(t)$
  • ランプ関数$t$
  • $e^{-at}$
  • 三角関数$cos\omega t$ , $sin\omega t$

のラプラス変換の計算について説明します。

デルタ関数(インパルス関数)

デルタ関数は、図1に示す通り、

$$\delta(t)=
\begin{cases}
\infty & t=0\\
0 & t≠0
\end{cases}\tag{8}$$

かつ、

$$\int_{0}^{\infty}\delta(t)dt=1\tag{9}$$

という関数です。

図示すると、図1の通りになり、$t=0$のとき$\infty$の値を持ち、その面積が1であるような関数です。

デルタ関数$\delta(t)$は、現実的には存在しない関数であり、超関数と呼ばれます。

図1 デルタ関数

デルタ関数$\delta(t)$のラプラス変換を考えてみます。

ラプラス変換の定義に従い計算すれば、$t=0$の時のみ値を持つことから、$e^{-st}|_{t=0}$の値がそのまま出力され、1になります。

$$\begin{align}
\mathcal{L} \left[\delta(t) \right] &=\int_{0}^{\infty} \delta(t) e^{-st}dt\\
&=1\tag{10}
\end{align}$$

ステップ関数

ステップ上に変化する関数をステップ関数$u(t)$といい、

$$u(t)=
\begin{cases}
1 & t≧0\\
0 & t<0
\end{cases}\tag{11}$$

となります。

図2 ステップ関数

ラプラス変換を計算すると、

$$\begin{align}
\mathcal{L}&=\int_{0}^{\infty} 1・e^{-st}dt\\
&=\left[-\frac{1}{s}e^{-st}\right]^{\infty}_{0}\\
&=\frac{1}{s}\tag{12}
\end{align}$$

となります。

参考に、ステップ関数は、$t=0$において無限大の傾きを持ち、0→1に変化します。

これより、デルタ関数とステップ関数は微分・積分の関係にあります。

ランプ関数

ランプ関数は、

$$x(t)=
\begin{cases}
t & t≧0\\
0 & t<0
\end{cases}\tag{13}$$

であるような関数です。

ラプラス変換を行うと、

$$\mathcal{L} \left[x(t)\right]=\int_{0}^{\infty}t e^{-st}dt\tag{14}$$

部分積分を行うと、

$$\begin{matrix}
f(t)=t & g'(t)=e^{-st}\\
f'(t)=1 & g(t)=-\frac{1}{s}e^{-st}
\end{matrix}\tag{15}$$

であるから、

$$\begin{align}
\mathcal{L} \left[x(t)\right]&=[t・\left(-\frac{1}{s}\right)e^{-st}]^{\infty}_{0}-\left(-\frac{1}{s}\right)\int_{0}^{\infty}e^{-st}dt\\
&=0-\frac{1}{s^2}\left[e^{-st}\right]^{\infty}_{0}\\
&=\frac{1}{s^2}\tag{16}
\end{align}$$

となります。

$e^{-at}$

自動制御において、応答波形の収束に関係する場面で頻繁に登場するのが、$e^{-at}$のラプラス変換です。

ラプラス変換を行うと、

$$\begin{align}
\mathcal{L}\left[e^{-at}\right]&=\int_{0}^{\infty}e^{-at}e^{-st}dt\\
&=\int_{0}^{\infty}e^{-(s+a)t}dt\\
&=-\frac{1}{s+a}\left[e^{-(s+a)t}\right]^{\infty}_{0}\\
&=\frac{1}{s+a}\tag{17}
\end{align}$$

となります。

ここで、

$$\begin{cases}
a>0{\rm のとき} & {\rm 収束}\\
a<0{\rm のとき} & {\rm 発散}\\
\end{cases}\tag{18}$$

するため、$a$の値によって、応答波形の性質が変化します。

$s=a$とは、分母=0の時の$s$に関する解であり、極と呼びます。

安定性判別において必須の確認事項になります。

三角関数

オイラーの公式を使う方法

三角関数のラプラス変換は、オイラーの公式、

$$e^{j\omega t}=cos\omega t + jsin\omega t\tag{19}$$

を利用すれば、

$$\begin{align}
\mathcal{L}\left[cos\omega t\right]+j\mathcal{L}\left[sin\omega t\right]&=\int_{0}^{\infty}cos\omega t e^{-st}dt+j\int_{0}^{\infty}sin\omega t e^{-st}dt\\
&=\int_{0}^{\infty}\left(cos\omega t+jsin\omega t\right)e^{-st}dt\\
&=\int_{0}^{\infty}e^{j\omega t}e^{-st}dt\\
&=\int_{0}^{\infty}e^{-(s-j\omega)t}dt\\
&=-\frac{1}{s-j\omega}\left[e^{-(s-j\omega)t}\right]^{\infty}_{0}\\
&=\frac{1}{s-j\omega}\\
&=\frac{s}{s^2+\omega^2}+j\frac{\omega}{s^2+\omega^2}\tag{20}
\end{align}$$

となります。

ここで、

$$\begin{align}
\mathcal{L}\left[cos\omega t\right]&=Re\left[\mathcal{L}\left[cos\omega t\right]+j\mathcal{L}\left[sin\omega t\right]\right]\\
&=\frac{s}{s^2+\omega^2}\tag{21}
\end{align}$$

$$\begin{align}
\mathcal{L}\left[sin\omega t\right]&=Im\left[\mathcal{L}\left[cos\omega t\right]+j\mathcal{L}\left[sin\omega t\right]\right]\\
&=\frac{\omega}{s^2+\omega^2}\tag{22}
\end{align}$$

となります。

部分積分を使う方法

部分積分で計算も可能ですが、いずれの場合にも部分積分を2回行う必要があるので非常に面倒です。

$cos\omega t$について

$$\mathcal{L}\left[cos\ \omega t\right]=\int_{0}^{\infty}{cos\ \omega t}e^{-st}dt\tag{23}$$

部分積分で、

$$\begin{matrix}f=cos\ \omega t&g^\prime=e^{-st}\\f^\prime=-\omega\ sin\ \omega t&g=-\frac{1}{s}e^{-st}\\\end{matrix}\tag{24}$$

であるので、

$$\begin{align}
\mathcal{L}\left[cos\ \omega t\right]&=\left[cos\ \omega t\ \left(-\frac{1}{s}e^{-st}\right)\right]_0^\infty-\frac{\omega}{s}\int_{0}^{\infty}sin\omega t\ e^{-st}dt\\
&=\frac{1}{s}-\frac{\omega}{s}\int_{0}^{\infty}sin\omega t\ e^{-st}dt\tag{25}
\end{align}$$

さらに部分積分で、

$$\begin{matrix}f=sin\ \omega t&g^\prime=e^{-st}\\f^\prime=\omega\ cos\ \omega t&g=-\frac{1}{s}e^{-st}\\\end{matrix}\tag{26}$$

であるので、

$$\begin{align}
\mathcal{L}\left[cos\ \omega t\right]&=\frac{1}{s}-\frac{\omega}{s}\left\{\left[sin\ \omega t\ \left(-\frac{1}{s}e^{-st}\right)\right]_0^\infty+\frac{\omega}{s}\int_{0}^{\infty}cos\omega t\ e^{-st}dt\right\}\\
&=\frac{1}{s}-\frac{\omega^2}{s^2}\int_{0}^{\infty}cos\omega t\ e^{-st}dt\\
&=\frac{1}{s}-\frac{\omega^2}{s^2}\mathcal{L}
\left[cos\ \omega t\right]\tag{27}
\end{align}$$

$$\left(1+\frac{\omega^2}{s^2}\right)\mathcal{L}\left[cos\ \omega t\right]=\frac{1}{s}\tag{28}$$

$$\frac{s^2+\omega^2}{s^2}\mathcal{L}\left[cos\ \omega t\right]=\frac{1}{s}\tag{29}
$$

よって、$cos\ \omega t$のラプラス変換は、

$$\mathcal{L}\left[cos \omega t\right]=\frac{s}{s^2+ω^2}\tag{30}$$

となります。

$sin\omega t$について

ラプラス変換を行うと、

$$\mathcal{L}\left[sin\ \omega t\right]=\int_{0}^{\infty}{sin\ \omega t\ e^{-st}}dt\tag{31}$$

部分積分で、

$$\begin{matrix}f=sin\ \omega t&g^\prime=e^{-st}\\f^\prime=\omega\ cos\ \omega t&g=-\frac{1}{s}e^{-st}\\\end{matrix}\tag{32}$$

$$\begin{align}
\mathcal{L}\left[sin\ \omega t\right]&=\left[sin\ \omega t\left(-\frac{1}{s}e^{-st}\right)\right]_0^\infty+\frac{\omega}{s}\int_{0}^{\infty}cos\omega t\ e^{-st}dt\\
&=0+\frac{\omega}{s}\int_{0}^{\infty}cos\omega t\ e^{-st}dt\tag{33}
\end{align}$$

さらに部分積分で、

$$\begin{matrix}f=cos\ \omega t&g^\prime=e^{-st}\\f\prime=-\omega\ sin\ \omega t&g=-\frac{1}{s}e^{-st}\\\end{matrix}\tag{34}$$

$$\begin{align}
\mathcal{L}\left[sin\ \omega t\right]&=\frac{\omega}{s}\left\{\left[cos\ \omega t\left(-\frac{1}{s}\right)e^{-st}\right]_0^\infty-\frac{\omega}{s}\int_{0}^{\infty}sin\omega t\ e^{-st}dt\right\}\\
&=\frac{\omega}{s^2}-\frac{\omega^2}{s^2}\mathcal{L}\left[sin\ \omega t\right]\tag{35}
\end{align}$$

$$\left(1+\frac{\omega^2}{s^2}\right)\mathcal{L}\left[sin\ \omega t\right]=\frac{\omega}{s^2}\tag{36}$$

$$\left(\frac{s^2+\omega^2}{s^2}\right)\mathcal{L}\left[sin\ \omega t\right]=\frac{\omega}{s^2}\tag{37}$$

よって、$sin\ \omega t$のラプラス変換は、

$$\begin{align}
\mathcal{L}\left[sin\omega t\right]&=\frac{\omega}{s^2}\frac{s^2}{s^2+\omega^2}\\
&=\frac{\omega}{s^2+\omega^2}\tag{38}
\end{align}$$

となります。

微分

関数の微分はラプラス変換でどのようにあらわされるかを見ていきます。

$$\mathcal{L}\left[\frac{dx\left(t\right)}{dt}\right]=\int_{0}^{\infty}{\frac{dx\left(t\right)}{dt}e^{-st}}dt\tag{39}$$

に関して、部分積分で、

$$\begin{matrix}
f=e^{-st}&g^\prime=\frac{dx\left(t\right)}{dt}\\
f^\prime=-se^{-st}&g=x\left(t\right)\\
\end{matrix}\tag{40}$$

であるので、

$$\begin{align}
\mathcal{L}\left[\frac{dx\left(t\right)}{dt}\right]&=\left[x\left(t\right)e^{-st}\right]_0^\infty+s\int_{0}^{\infty}{x\left(t\right)e^{-st}}dt\\
&=-x\left(0\right)+sX\left(s\right)\tag{41}
\end{align}$$

となります。

制御において、基本的に初期値は0で扱うので、最終的に、

$$\mathcal{L}\left[\frac{dx(t)}{dt}\right]=sX(s)\tag{41}$$

となります。

以上より、ラプラス変換した場合、微分はラプラス演算子$s$をかけることで表現できます。

積分

次に、関数の積分を見ていきます。

$$\mathcal{L}\left[\int_{0}^{t}x\left(\tau\right)d\tau\right]=\int_{0}^{\infty}{\left\{\int_{0}^{t}x\left(t\right)dt\right\}e^{-st}}dt\tag{42}$$

に関して、部分積分で、

$$\begin{matrix}f=\int_{0}^{t}x\left(t\right)dt&g^\prime=e^{-st}\\f^\prime=x\left(t\right)&g=-\frac{1}{s}e^{-st}\\\end{matrix}\tag{43}$$

となるので、

$$\begin{align}
\mathcal{L}\left[\int_{0}^{t}x\left(\tau\right)d\tau\right]&=\left[-\frac{1}{s}e^{-st}\int_{0}^{t}x\left(t\right)dt\right]_0^\infty-\int_{0}^{\infty}x\left(t\right)\left(-\frac{1}{s}e^{-st}\right)dt\\
&=\frac{1}{s}\int_{0}^{\infty}{x\left(t\right)e^{-st}}dt-\int_{0}^{\infty}x\left(t\right)\left(-\frac{1}{s}e^{-st}\right)dt\\
&=\frac{1}{s}X\left(s\right)-x^{-1}\left(0\right)\tag{44}
\end{align}$$

となります。

制御において、基本的に初期値は0で扱うので、最終的に、

$$\mathcal{L} \left[\int_0^t x(τ)dτ\right]=\frac{1}{s}X(s)\tag{45}$$

となります。

以上より、ラプラス変換した場合、積分はラプラス演算子sで割ることで表現できます。また、微分がs、積分が$\frac{1}{s}$の対応関係も確認できます。

まとめ

ここまで、自動制御で使用する基本関数のラプラス変換について説明してきました。

自動制御では、ラプラス変換は単なるツールとして使用するので、最終的にはラプラス変換表を暗記してください。

特に、ラプラス変換表を暗記していなければ、逆ラプラス変換はできません。

以上、基本関数のラプラス変換について、参考になれば幸いです。