電圧源と電流源の回路計算における基本ルール

この記事では、電圧源と電流源において、回路計算で必要になる基本ルールについて解説します。

あまりにも基本的な(常識的な)内容であり、回路計算においてあまり意識しないことが多いと思いますが、一度正確に理解しておきましょう。

特に、大学で電気工学を専攻しており、今後パワーエレクトロニクスを専門分野として理解していく場合には、電圧源と電流源の概念が非常に重要になります。

電圧源とは

電圧源の基本動作

電圧源とは、何があってもその電圧を維持しようとする回路の構成要素のことです。

この時、出力されている電流は可変です。

例えば、$10\mathrm{V}$の電圧源が抵抗$R$に接続されていれば、電圧源は、何が何でも抵抗$R$の両端電圧を$10\mathrm{V}$に維持しようとしています。

図1 電圧源の基本ルール

この時、電圧源の出力している電流の値は、オームの法則より、

$$I=\frac{10}{R}$$

の電流を出力しています。

つまり、抵抗$R$が変化すれば、電圧源が出力する電流の値は変化します。

理想的な電圧源の条件

理想的な電圧源は、

  • 内部抵抗が$0\mathrm{Ω}$
  • 負荷の影響を受けず一定電圧を出力する

という条件です。

図2 理想的な電圧源

しかし、実際には理想と現実のギャップがあります。

現実的には電圧源の内部抵抗は$0\mathrm{Ω}$ではありません。

仮に電圧源の内部抵抗$r$が大きい場合、下図に示す通り、内部抵抗によって電圧降下が生じ、電流の値に依存して出力電圧が変動してしまいます。

図3 現実の電圧源

つまり、負荷の抵抗値$R$に対し、内部抵抗$r$が十分小さくなければ、理想から遠く離れることになります。

図の場合、内部抵抗によって分圧されるので、

$$V’=\frac{R}{R+r}V$$

となります。

$r→0$であれば、$V’=V$となることが分かります。

電流源とは

電流源の基本動作

電流源とは、何があってもその電流を流し続ける回路の構成要素のことです。

この時、電流源両端の電圧は可変です。

例えば、$1\mathrm{A}$の電流源が抵抗$R\mathrm{Ω}$に接続されていれば、電流源は、何が何でも一定の電流$1\mathrm{A}$を流そうとします。

図4 電流源の基本ルール

この時、電流源の両端電圧は、オームの法則より、

$$1×R=R$$

となります。

つまり、抵抗$R$の値によって、電圧が変化しています。

理想的な電流源の条件

理想的な電流源は、

  • 内部抵抗が$\infty\mathrm{Ω}$
  • 負荷の影響を受けず一定電流を出力する

という条件です。

図5 理想的な電流源

しかし、こちらも実際には理想と現実のギャップがあります。

電流源の内部抵抗が$r$があまり大きくない場合、下図に示す電流経路が生じてしまうので、出力電流が変動します。

図6 現実の電流源

つまり、負荷の抵抗値$R$に対し、十分$r$が大きくなければ、理想から遠く離れることになります。

図の場合、並列された内部抵抗$r$に

$$I’=\frac{r}{R+r}$$

となります。

$r→\infty$であれば、$I’=I$であることが分かります。

回路計算における基本ルール

電圧源は短絡は禁止

電圧源は、何が何でも一定電圧を維持する回路の構成要素と説明しました。

この電圧源を短絡するとどうなるでしょうか。

図7 電圧源は短絡禁止

答えは、無抵抗の回路を一定電圧に維持する動作をします。

つまり、いくら電流を流しても電圧が生じない回路に対し、電圧源が何が何でも一定電圧を発生させようとするので、無限に大きい電流が流れます。

これは危険であるので、電気回路において電圧源の短絡は禁止されています。

電流源は開放は禁止

電流源は、何が何でも一定電流を流し続ける回路の構成要素と説明しました。

この電流源を開放するとどうなるでしょうか。

図8 電流源は開放できない

答えは、無限に大きい抵抗に一定電流を流すような動作をします。

つまり、いくら電圧を印加しても全くい電流が流れない回路に対し、電流源が何が何でも一定電流を流し続けようとするので、無限に大きい電圧が発生します。

これは危険であるので、電気回路において電流源の開放は禁止されています。

まとめ

ここまで、電圧源と電流源の基本的なルールについて解説してきました。

この内容は、パワーエレクトロニクスを理解するうえで重要な知識になるので、知っておいてください。

以上、電圧源と電流源の基本ルールについて、参考になれば幸いです。

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