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今回は、バネの問題の基礎となるフックの法則について紹介します。
そして、フックの法則におけるマイナスの意味と、簡単な例題を解説を含めて説明していきます!
目次
フックの法則とは
フックの法則は、簡単に言うとバネが縮んだ分だけ反発力を持つという意味です。
この時の反発力は、バネの縮んだ長さに比例します。
これがフックの法則です。
小難しい定義を書くから物理が意味不明になるのであって、簡単に書けばそこまで難しい法則でもないでしょう。
フックの法則の式のマイナスの意味合い
フックの法則の式
フックの法則は、次の式で表されます。
$$F=-kx$$
$x$は縮んだ長さ、$k$はバネ定数です。
フックの法則を図で表すと、下のようになります。
ここで、謎のマイナスがありますね。
運動方程式を立てるうえで、非常にポイントになるマイナスです。
この意味を解説していきましょう。
縮んだ長さと逆方向の力を表す
下の図を見てください。
位置もベクトル量です。
想像してみてください。
もし、買い物を頼まれて、300m離れた場所に行くとしても、お店の方向がわからなければ進めないでしょう。
それと同じで、バネの変形に対しても、伸びか縮むかで、正負を分ける必要があります。
ここで、物理的な直観として、バネが伸びた場合には縮む方向に、バネが縮んだ場合には伸びる方向に力が働くことは容易に想像できるでしょう。
バネが伸びる方向を正とした場合
さて、一例としてバネが伸びる方向を正にした場合を考えます。
x座標の原点は、バネの自然長の長さを基準にします。
バネが伸びた場合、力はバネが縮む方向に働くため、x軸で見ればマイナスの方向に力が働いています。
よって、バネの長さがx軸方向性の向きに変化した場合、力はx軸方向マイナスの向きに働きます。
逆の場合で、バネが縮んだ場合を考えます。
バネの位置としては、x軸の負の方向に移動しますが、この時バネは伸びる方向、すなわち、x軸の正の方向に力が働いています。
この例からも、バネの変形と反対方向に力が働いていることがわかります。
これが、フックの法則で表れているマイナスの記号の意味です。
バネが縮む方向を静とした場合
なお、マイナス記号は座標の取り方に依存しません。
同じばねの問題を、バネが縮む方向を正としてx軸を取り考えてみましょう。
バネが縮んだ場合、バネの位置はx軸のマイナス方向に移動します。
一方、力はバネが伸びる方向に働くので、x軸性の向きに働きます。
逆に、バネが伸びた場合を考えます。
バネが伸びると、バネの位置はx軸で負の方向に移動しますが、力は縮む方向、すなわち、x軸の正の方向に働きます。
これで、フックの法則におけるマイナスの意味が理解できたでしょう。
フックの法則の例題
フックの法則の例題を管理画面和えます。
下の図のように、自然長Lのバネに、質量M[kg]の質点がつるされている。
質点は手で支えており、バネの自然長の長さから静かに手を離した。
t秒後の質点の位置を求めよ。
ただし、バネの自然長をx軸の基準とし、鉛直下向きをx軸の正方向とする。
この問題では、質点に働く力について考察を行います。
質点には当然重力$Mg$が働きます。
※$g$は重力加速度
バネの力は、フックの法則で$-kx$となります。
符号についてもしっかり確認をしてください。
バネが伸びた(xは正)の時、バネは縮む(x軸の負)の方向に力が働きますね。
ここで、運動方程式は、次の式になります。
$$M \frac{d^2 x}{dt^2}=mg-kx$$
この微分方程式を解くと、次のようになります。
$$x=Asin(\sqrt{\frac{k}{m}}t)+Bcos (\sqrt{\frac{k}{m}}t)+\frac{mg}{k}$$
ここで、$A$と$B$は積分定数です。
初期条件$\frac{dx}{dt}|_{t=0}=v(0)=0$と$x(0)=0$を用いて解くと、積分定数が次のように定まります。
$$A=0$$
$$B=-\frac{mg}{k}$$
したがって、次の式が答えになります。
$$x=\frac{mg}{k}\{1-cos(\sqrt{\frac{k}{m}}t) \}$$
ここで適当な数字として、m=1, k=1として、エクセルでグラフを描くと、次のように振動している様子がわかります。
物理的な直感としても、この問題の状況では、バネがボヨボヨと伸び縮みをして跳ね続けている様子が想像できるでしょう。
余談ですが、このグラフは$x=10$付近を中心にした三角関数になっています。
これ、厳密には$x=9.8$を中心にした三角関数なのです。
この$x=9.8$の意味を考えてみましょう。
$x=9.8$の時、$k=1$とすれば、バネは上向きに9.8[N]の力が働いています。
この数値計算では、質点の質量は1[kg]としました。
よって、重力は1×9.8=9.8[N]働いています。
よって、バネの振動は、バネの弾性力と、質点に働く重力の釣り合う位置を基準に振動していることがわかります。
これお、物理歴な直感として覚えておくといいでしょう。
知ってると自慢できるかも!?
なお、バネの身近な例としては、自動車のサスペンションがあります。
自動車のサスペンションには、金属製のバネが使われています。
走っているときの路面の凸凹を、バネが吸収することで、乗り心地の良い車を作っています。
しかし、バネ単体では、この問題のように振動を繰り返してしまいます。
これでは、車酔いが多発してしまいますよね。
そこで、自動車にはオイルダンパーというものがバネと一緒に搭載されています。
オイルダンパーは、速度に比例して減衰力を与えるものです。
オイルダンパーによって車の揺れが収まり、快適なドライブを愉しむことができるのです。
フックの法則のまとめ
ここまで、フックの法則について説明してきました。
フックの法則でポイントとなるのは、バネの反発力が働く向きです。
バネの反発力が働く向きさえ間違えなければ、運動方程式を立てる際にも失敗しません。
バネの反発力は、縮んだ方向と反対向きに働くと覚えておいてください。
以上、フックの法則について参考になれば幸いです。