図に示すフィードバック制御系について、次の問に答えよ。ここで、$R\left(s\right)$は目標値、$E\left(s\right)$は制御偏差、$Y\left(s\right)$は制御量であり、$K>0$とする。
(1)開ループ伝達関数$G\left(s\right)=\frac{Y\left(s\right)}{E\left(s\right)}$を求めよ。
(2)閉ループ伝達関数$W\left(s\right)=\frac{Y\left(s\right)}{R\left(s\right)}$を求めよ。
(3)この制御系において、$T=0$としたとき、閉ループ伝達関数$W\left(s\right)$の特性方程式は二次方程式となる。目標値のステップ状変化に対する制御量の時間応答$y\left(t\right)$が振動的になる$K$の条件を求めよ。
(4)小問(3)の制御系において$K=1$としたとき、目標値の単位インパルス変化に対する制御量の時間応答$y\left(t\right)$を求めよ。
必要に応じて、ラプラス変換の複素領域における推移定理である$\mathcal{L}\left[e^{-at}x\left(t\right)\right]=X\left(s+a\right)$を使ってよい。
(5)この制御系において、$T=2$としたとき、閉ループ伝達関数$W\left(s\right)$の特性方程式は三次方程式となる。制御系を安定にする$K$の条件をラウス・フルビッツの安定判別法を適用して求めよ。
目次
解答・解説
小問(1)
まずは、$G\left(s\right)$内部に関して、解図1に示すように、
- 前向き伝達関数
- 一巡伝達関数
とすれば、フィードバック制御部分について、
$$\begin{align}
\frac{前向き伝達関数}{1+一巡伝達関数}&=\frac{\frac{1}{s(2s+1)}}{1+s\frac{1}{s(2s+1)}}\\
&=\frac{1}{2}\frac{1}{s(s+1)}\tag{1}
\end{align}$$
となる。
解図1
以上より、開ループ伝達関数$G\left(s\right)$は、
$$\begin{align}
G(s)&=\frac{K}{Ts+1}・\frac{1}{2}\frac{1}{s(s+1)}\\
&=\frac{K}{2}\frac{1}{s(s+1)(Ts+1)}\tag{2}
\end{align}$$
となる。
(答)$G\left(s\right)=\frac{K}{2}\frac{1}{s\left(s+1\right)\left(Ts+1\right)}$
小問(2)
解図2に示す通り、
$$\begin{align}
W\left(s\right)&=\frac{前向き伝達関数}{1+一巡伝達関数}\\
&=\frac{G(s)}{1+G(s)}\\
&=\frac{\frac{K}{2}\frac{1}{s(s+1)(Ts+1)}}{1+\frac{K}{2}\frac{1}{s(s+1)(Ts+1)}}\\
&=\frac{K}{2s(s+1)(Ts+1)+K}\\
&=\frac{K}{2Ts^3+2(1+T)s^2+2s+K}\tag{3}
\end{align}$$
となる。
解図2
(答)$W\left(s\right)=\frac{K}{2Ts^3+2\left(1+T\right)s^2+2s+K}$
小問(3)
T=0としたときの特性方程式は、式(2)の分母を取り出せばいいので、
$$2s^2+2s+K=0\tag{4}$$
となる。
振動的となるには、根が複素数となればいいので、判別式<0、つまり、
$$2^2-4×2×K<0\tag{5}$$
$$K>0.5\tag{6}$$
となる。
(答)$K>0.500$
小問(4)
$K=1$のとき、
$$W(s)=\frac{1}{2s^2+2s+1}\tag{7}$$
となる。
インパルス応答$Y\left(s\right)$は、
$$\begin{align}
Y(s)&=W(s)・1\\
&=\frac{1}{2s^2+2s+1}\\
&=\frac{1}{2}\frac{1}{s^2+s+0.5}\\
&=\frac{0.5}{(s+0.5)^2+0.25}\tag{7}
\end{align}$$
推移定理より、
$$\mathcal{L}\left[e^{-0.5t}y(t)\right]=Y(s+0.5)\tag{8}$$
であるから、
$$y(t)=e^{-0.5t}sin0.5t\tag{9}$$
となる。
(答)$y\left(t\right)=e^{-0.5t}sin0.5t$
小問(5)
$T=2$としたときの特性方程式は、式(2)の分母を取り出し$T=2$を代入すればいいので、
$$4s^3+6s^2+2s+K=0\tag{10}$$
となる。
ラウスの安定判別法より、
$$\begin{matrix}
s^3 & 4 & 2 \\
s^2 & 6 & K \\
s^1 & -\frac{1}{6}(4K-12) & 0 \\
s^0 & K & 0\tag{11}
\end{matrix}$$
となるので、
$$\begin{cases}
-\frac{1}{6}\left(4K-12\right)>0\\
K>0
\end{cases}\tag{12}$$
であるから、
$$0<K<3\tag{13}$$
となる。
(答)$0<K<3$
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