【R3 電験2種 2次 機械・制御 問2】変圧器の短絡試験に関する計算問題

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この記事では、令和3年度 電験2種 2次試験 機械・制御 問2の過去問解説をします。

この問題は、変圧器の短絡試験の問題で、短絡試験の結果から等価回路定数を計算するもんです。

電験2種で、変圧器の特性試験(短絡試験・開放試験)は頻出なので、確実に解けるようにしておいてください。

令和3年度 電験2種 2次試験 機械・制御 問2 問題文

容量$200{\rm KV・A}$、一次電圧$11 000{\rm V}$、二次電圧$440{\rm V}$、周波数$50{\rm Hz}$を定格とし、自己容量基準の短絡インピーダンス$\%z$が$4.5\%$の単相変圧器がある。この変圧器の二次側を短絡し一次側に定格電流を流したときの一次側の電力計の指示は$1.5{\rm kW}$であった。

この変圧器について、次の問に答えよ。ただし、変圧器の励磁電流、鉄損は無視できるものとする。

(1)$\%z$のうち抵抗分($\%r$)、リアクタンス分($\%x$)を答えよ。

(2)短絡インピーダンスの一次換算値$Z\left[{\rm Ω}\right]$を答えよ。

(3)$Z\left[{\rm Ω}\right]$の抵抗分$R\left[{\rm Ω}\right]$及び、リアクタンス分$X\left[{\rm Ω}\right]$を答えよ。

(4)この変圧器の二次側にリアクトルを接続し、一次側に交流$11 000{\rm V}$を加えたときの二次電流は$400{\rm A}$であった。このときの変圧器二次電圧$V_2\left[{\rm V}\right]$及び、リアクトルの無効電力$Q_L\left[{\rm Kvar}\right]$を求めよ。なお、リアクトルの抵抗分は無視してよい。

解答・解説

この問題のポイントは、変圧器の特性試験に加えて、1次側変換・2次側変換の正確なトレースです。

問題の中で様々な回路上の値を計算していきますが、今計算しているのが1次側換算値なのか、2次側換算値なのかを正確に追いかけてください。

この問題においては、最初に2次側を短絡して短絡試験を行っているので、小問の誘導に沿っていけば、自然に1次側換算の結果を使用することになります。

そのため、基本的には1次側で計算を行い、(4)のように題意として2次側換算が求められた場合には、最終結果を2次側に換算する回答のほうが、スマートにまとまるでしょう。

小問(1)

2次側を短絡した短絡試験における回路図(1次側換算)を、解図1に示す。

解図1

解図1より、変圧器の2次側は短絡され、さらに有効電力1.5kWが発生している。定格電流$I_n$は、

$$I_n=\frac{200000}{11000}=18.1818181818\left[{\rm A}\right]\tag{1}$$

であり、有効電力$1.5\left[{\rm kW}\right]$は巻線抵抗$R$で消費される銅損$RI_n^2$なので、

$$1.5×1000=RI_n^2=R×18.1818181818^2\tag{2}$$

以上より、$r=4.5375\left[{\rm Ω}\right]$となる。

さて、基準インピーダンスは、定格電圧と定格電流から計算できて、

$$\begin{align}
Z_{BASE}&=\frac{V_n}{I_n}\\
&=\frac{11000}{18.1818181818}\\
&=605.00\left[Ω\right]\tag{3}
\end{align}$$

%抵抗値について、

$$\begin{align}
\%r&=\frac{r}{Z_{BASE}}×100\\
&=\frac{4.5375}{605.00}×100\\
&=0.75\left[\%\right]\tag{4}
\end{align}$$

と計算できる。

$\%x$については、

$$\%z^2=\%r^2+\%x^2\tag{5}$$

と計算できて、$\%z$が$4.5\%$であることから、

$$4.5^2=0.75^2+\%x^2\tag{6}$$

より、$\%x=4.43705983732\left[\%\right]$となる。

(答)$\%r=0.75\left[\%\right]$、$\%x=4.44\left[\%\right]$

小問(2)

$\%z=4.5\left[\%\right]$であり、一次側の基準インピーダンス$Z_{BASE}=605.00\left[{\rm Ω}\right]$であるので、

$$\%z=\frac{Z}{Z_{BASE}}×100\tag{7}$$

より、

$$4.5=\frac{Z}{605.00}×100\tag{8}$$

$Z=27.225\left[{\rm Ω}\right]$となる。

(答)$Z=27.2\left[{\rm Ω}\right]$

小問(3)

抵抗$R$については設問(1)で導出済みで、$4.5375\left[{\rm Ω}\right]$となる。

リアクタンス$X$について、

$$\%x=\frac{X}{Z_{BASE}}×100\tag{9}$$

より、

$$4.43705983732=\frac{X}{605.00}×100\tag{10}$$

を計算して、$X=26.8442120157\left[{\rm Ω}\right]$となる。

(答)$R=4.54\left[{\rm Ω}\right]$、$X=26.8\left[{\rm Ω}\right]$

小問(4)

2次側にリアクトルを設置した回路図を解図2に示す。ただし、値は全て1次側換算値であることに注意する。

解図2

基準を1次側にすれば、全インピーダンスは

$$\dot{Z}=4.5375+j\left(26.8442120157+X_{L1}\right)\tag{11}$$

である。(ここで、$X_{L1}$は1次側換算のリアクタンスであることに注意)

これより、

$$11000=16\sqrt{4.5375^2+\left(26.8442120157+X_{L1}\right)^2}\tag{12}$$

であるから、$X_{L1}$について解くと$X_{L1}=660.640814072\left[{\rm Ω}\right]$となる。

無効電力$Q_L$は、

$$\begin{align}
Q_L&=X_{L1}I_1^2\\
&=660.64×16^2\\
&=169124.048401\left[{\rm Var}\right]\tag{13}
\end{align}$$

これより、$Q_L=169\left[{\rm kVar}\right]$となる。

1次側に換算された電圧$V_{L1}$については、

$$\begin{align}
V_{L1}&=X_{L1}I_1\\
&=660.640814072×16\\
&=10570.2530251\left[{\rm V}\right]\tag{14}
\end{align}$$

となる。2次側換算をして、

$$\begin{align}
V_2&=V_{L1} \frac{440}{11000}\\
&=422.810121003\left[{\rm V}\right]\tag{15}
\end{align}$$

となる。

(答)$Q_L=169\left[{\rm kVar}\right]$、$V_2=423\left[{\rm V}\right]$

■おさらい
下図において、左が開放試験、右が短絡試験です。

これらの試験では、印加電圧$\dot{V}$、電流$\dot{I}$、消費電力$P$が測定されています。

開放試験においては励磁回路のみに電流が流れるので、励磁コンダクタンス$g_0$が有効電力$P$と電圧$V$から$P=g_0V^2$で求まり、励磁アドミタンスが電圧$V$と電流$I$から$Y=\frac{I}{V}$で求まり、励磁サセプタンス$b_0$が$b_0=\sqrt{Y^2-g_0^2}$で求まります。

短絡試験においては励磁電流が非常に小さく無視できるので、巻線抵抗$R$が有効電力$P$と電流$I$から$P=RI^2$で求まり、インピーダンス$Z$が電圧$V$と電流$I$から$Z=\frac{V}{I}$で求まり、リアクタンス$X$が$X=\sqrt{Z^2-R^2}$で求まります。

開放試験、短絡試験ではこのように順序良く計算していってください。


開放試験

短絡試験

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