【R2 電験2種 2次 電力・管理 問3】対称座標法による1線地絡電流の計算問題

みなさん、こんにちは!

ブリュの公式ブログ.org(for Academic Style)にお越しいただきまして、ありがとうございます!

この記事では、令和2年度 電験2種 2次試験 電力・管理 問3の過去問解説をします。

この問題は対称座標法による1線地絡電流を計算する問題です。

通常、1線地絡故障の問題は、

  • 電験1種では対称座標法
  • 電験2種ではテブナンの定理

という感じで問われていましたが、珍しく電験2種でも対称座標法が登場しました。

今後は電験2種でも出題されることも十分考えられるので、確実に解けるようにしておいてください。

この問題は、問題文で1線地絡条件が提示されているので、基本的に対称座標法の変換公式を知っていれば解ける問題です。

しかし、毎回1線地絡条件が提示されているとは限らないので、試験対策としては、1線地絡条件の意味も理解しておきましょう。

別の記事で、対称座標法による1線地絡故障の故障電流を計算する方法を解説しているので、併せて参考にしてください。

対称座標法による1線地絡故障時の故障電流の計算方法について

令和2年度 電験2種 2次試験 電力・管理 問3 問題文

対称座標法を用いた1線地絡故障の計算に関して、次の問に答えよ。

図のような送受電端の変圧器の中性点をそれぞれ$R_e$の抵抗で接地したこう長$20{\rm km}$、電圧$66{\rm kV}$、周波数$50{\rm Hz}$の三相3線式1回線送電線路がある。

そのa相1線が$R_f$の抵抗を通じて地絡を生じた場合の地絡電流を求めたい。

(1)地絡電流$\dot{I_g}$を、a相の無負荷電圧$\dot{E_a}$、この送電回路の故障点から見た零相インピーダンス$\dot{Z_0}$、正相インピーダンス$\dot{Z_1}$、逆相インピーダンス$\dot{Z_2}$、及び、地絡点の抵抗$R_f$で表せ。
なお、故障点での各相電圧、各相電流を図に示すように$\dot{V_a}$、$\dot{V_b}$、$\dot{V_c}$、$\dot{I_a}$、$\dot{I_b}$、$\dot{I_c}$とし、それを対称成分に変換したものを$\dot{V_0}$、$\dot{V_1}$、$\dot{V_2}$、$\dot{I_0}$、$\dot{I_1}$、$\dot{I_2}$としたとき、以下の関係となる。

$$\dot{V_0}=-\dot{Z_0}\dot{I_0}$$

$$\dot{V_1}=\dot{E_a}-\dot{Z_1}\dot{I_1}$$

$$\dot{V_2}=-\dot{Z_2}\dot{I_2}$$

また、故障条件から以下の関係となる。

$$\dot{I_b}=\dot{I_c}=0$$

$$\dot{V_a}=\dot{I_a}R_f$$

(2)零相インピーダンス$\dot{Z_0}$、正相インピーダンス$\dot{Z_1}$、逆相インピーダンス$\dot{Z_2}$をそれぞれ求めよ。ただし、1線あたりの対地静電容量$C$は$0.005{\rm μF/km}$、変圧器の中性点の抵抗$R_e$は$\frac{2\ 000}{3}{\rm Ω}$として、その他のインピーダンス、また負荷電流は無視するものとする。
なお、$\pi=3.1416$とする。

(3)小問(2)の条件に加えて、地絡点の抵抗$R_f$が$10{\rm Ω}$の場合における地絡電流の大きさ$\left|\dot{I_g}\right|\left[{\rm A}\right]$を求めよ。

解答・解説

小問(1)

地絡故障の際の条件(1線地絡条件)は、

$$\begin{cases}
\dot{I_a}=\dot{I_g}\\
\dot{I_b}=0\\
\dot{I_c}=0
\end{cases}\tag{1}$$

である。

対称分に変換して、

$$\begin{align}
\left(\begin{matrix}\dot{I_0}\\\dot{I_1}\\\dot{I_2} \end{matrix}\right)
&=\frac{1}{3} \left(\begin{matrix} 1 & 1 & 1\\
1 & a & a^2\\
1 & a^2 & a \end{matrix}\right)
\left(\begin{matrix} \dot{I_a}\\\dot{I_b}\\\dot{I_c} \end{matrix}\right)\\
&=\frac{1}{3} \left(\begin{matrix} 1 & 1 & 1\\
1 & a & a^2\\
1 & a^2 & a\end{matrix}\right)
\left(\begin{matrix} \dot{I_g}\\0\\0\end{matrix}\right)\\
&=\frac{1}{3} \left(\begin{matrix}\dot{I_g}\\\dot{I_g}\\\dot{I_g}\end{matrix}\right)\tag{2}
\end{align}$$

すなわち、

$$\dot{I_0}=\dot{I_1}=\dot{I_2}=\frac{1}{3}\dot{I_g}\tag{3}$$

となる。

さらに、地絡点の電圧$\dot{V_a}$について、

$$\begin{align}
\dot{V_a}&=\dot{I_g} \dot{R_g}\\
&=3\dot{I_0}R_g\\
&=\dot{V_0}+\dot{V_1}+\dot{V_2}\tag{4}
\end{align}$$

である。

以上より、

$$\begin{cases}
\dot{V_0}=-\dot{Z_0} \dot{I_0}\\
\dot{V_1}=\dot{E_a}-\dot{Z_1} \dot{I_1}\\
\dot{V_2}=-\dot{Z_2} \dot{I_2}\\
\dot{V_a}=3\dot{I_0}R_g
\end{cases}\tag{5}$$

となる。

以上より、対称分等価回路は解図1の通りになる。対称分等価回路より、

$$\begin{align}
\dot{I_0}&=\dot{I_1}=\dot{I_2}\\
&=\frac{\dot{E_a}}{3R_f+\dot{Z_0}+\dot{Z_1}+\dot{Z_2}}\tag{6}
\end{align}$$

したがって、

$$\begin{align}
\dot{I_g}&=3\dot{I_0}\\
&=\frac{3\dot{E_a}}{3R_f+\dot{Z_0}+\dot{Z_1}+\dot{Z_2}}\tag{7}
\end{align}$$

となる。

解図1

(答)$\dot{I_g}=\frac{3\dot{E_a}}{3R_f+\dot{Z_0}+\dot{Z_1}+\dot{Z_2}}$

解図で示している発電機の基礎式をもとにしている回路図は必ずしも描く必要はありません

発電機の基礎式をそのまま計算で解けば、同じ解が得られます。(回路図を描かなくても正解です。)

しかし、回路図を描くと視覚的にオームの法則で一目瞭然になるので、計算ミスが少ないです。

そのため、筆者とすれば、回路図を描くことをお勧めします。

小問(2)

零相インピーダンス$\dot{Z_0}$は、対地静電容量$C$と接地抵抗$R_e$の2並列(※三相共通なので3倍が必要)の並列接続であるので、

$$\begin{align}
\dot{Z_0}&=\frac{1}{\frac{1}{3・\frac{1}{2}R_e}+j\omega C}\\
&=\frac{1}{\frac{1}{3×\frac{1}{2}×\frac{2000}{3}}+j2π×50×0.005×10^{-6}×20}\\
&=\frac{1}{0.001+j31.416×10^{-6}}\\
&=999.020959459-j31.3852424623\left[{\rm Ω}\right]\tag{8}
\end{align}$$

$$\dot{Z_1}=0\left[{\rm Ω}\right]\tag{9}$$

$$\dot{Z_2}=0\left[{\rm Ω}\right]\tag{10}$$

(答)$\dot{Z_0}=999-j31.4\left[{\rm Ω}\right]$, $\dot{Z_1}=0\left[{\rm Ω}\right]$, $\dot{Z_2}=0\left[{\rm Ω}\right]$

小問(3)

小問(1)、小問(2)より、地絡電流$\dot{I_g}$は、

$$\begin{align}
\dot{I_g}&=\frac{3\dot{E_a}}{3R_f+\dot{Z_0}+\dot{Z_1}+\dot{Z_2}}\\
&=\frac{3\times66×10^3×\frac{1}{\sqrt3}}{3×10+999.020959459-j31.3852424623+0+0}\\
&=\frac{114318.706697}{1029.02095945-j31.3852424623}\tag{11}
\end{align}$$

となる。

地絡電流$\dot{I_g}$の大きさは、

$$\begin{align}
\dot{I_g}&=\frac{114318.706697}{\sqrt{1029.02095945^2+31.3852424623^2}}\\
&=111.04299\left[{\rm A}\right]\tag{12}
\end{align}$$

となる。

(答)$\left|\dot{I_g}\right|=111\left[{\rm A}\right]$

電験 過去問解説

電験の過去問解説を無料公開しています。

全ての過去問記事は、電験2種 過去問解説 年度別一覧からどうぞ。

電験2種 過去問解説

電験3種 過去問解説

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする