【R1 電験2種 2次 機械・制御 問2】変圧器の並行運転の計算問題

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この記事では、令和元年度 電験2種 2次試験 機械・制御 問2の過去問解説をします。

この問題は、2台の変圧器の並行運転に関する計算問題です。

問題の前提条件として2台の変圧器の、

  • 定格一次電圧、定格二次電圧が等しい
  • 変圧比が等しい
  • 結線、相回転が等しい
  • 巻線の知恵行と漏れリアクタンスの比が等しい

という条件があるので、循環電流の考慮の必要性がなく、計算が最も簡単になるパターンです

令和元年度 電験2種 2次試験 機械・制御 問2 問題文

表に示す定格及び特性をもつ2台の三相変圧器A及びBが並行運転をしている。次の問に答えよ。ただし、負荷力率は$90\%$とし、両変圧器の定格一次電圧、定格二次電圧、変圧比、結線、相回転、及び巻線の抵抗と漏れリアクタンスとの比は等しいものとする。また、鉄損は負荷によらず一定とする。

定格・特性 変圧器A 変圧器B
定格容量$\left[{\rm MV・A}\right]$ $20$ $12$
全負荷銅損$\left[{\rm kW}\right]$ $100$ $75$
鉄損$\left[{\rm kW}\right]$ $32$ $20$
百分率インピーダンス$\left[\%\right]$ $4$ $5$

(1)負荷容量を$P\left[{\rm MV・A}\right]$とするときの変圧器A及びBの各負荷分担$P_A\left[{\rm MV・A}\right]$及び$P_B\left[{\rm MV・A}\right]について、それぞれ$P$で表せ。

(2)変圧器A及びBの損失をそれぞれ$P_{lA}\left[{\rm kW}\right]$及び$P_{lB}\left[{\rm kW}\right]$とするとき、両変圧器の総損失$P_L=P_{lA}+P_{lB}\left[{\rm kW}\right]$について、上記の$P$で表せ。

(3)変圧器A及びBを合わせた効率が最大となる負荷の有効電力$P_a\left[{\rm MW}\right]$を求めよ。

(4)小問(3)のときの効率の最大値$\eta_m$を求めよ。

解答・解説

小問(1)

本問においては、

  • 両変圧器の巻数は等しい(両変圧器の定格一次側電圧、定格二次側電圧は等しい)
  • 巻線の抵抗と漏れリアクタンスとの比は等しい

ので、循環電流や複素数の演算を必要とせず、負荷分担は単純にインピーダンスの逆比で決定する。

変圧器Aについて、

$$I_A=\frac{Z_B}{Z_A+Z_B}I\tag{1}$$

$$\begin{align}
P_A&=I_AV\\
&=\frac{Z_B}{Z_A+Z_B}IV\\
&=\frac{Z_B}{Z_A+Z_B}P\tag{2}
\end{align}$$

同様に、変圧器Bについても、

$$I_B=\frac{Z_A}{Z_A+Z_B}I\tag{3}$$

$$\begin{align}
P_B&=I_BV\\
&=\frac{Z_A}{Z_A+Z_B}IV\\
&=\frac{Z_A}{Z_A+Z_B}P\tag{4}
\end{align}$$

となる。

ここで、百分率インピーダンス(パーセントインピーダンスと同じ意味)でも同様に書き表すことができるが、そのためには基準容量をそろえる必要がある。

仮に変圧器Aの基準容量$20\left[{\rm MV・A}\right]$にそろえるのであれば、変圧器Aの百分率インピーダンスを$\%Z_A$、変圧器Bの百分率インピーダンスを$\%Z_B$とすれば、

  • $\%Z_A=4\left[\%\right]$
  • $\%Z_B=5\times\frac{20}{12}=8.33333333333\left[\%\right]$

となる。

最終的に、

$$\begin{align}
P_A&=\frac{Z_B}{Z_A+Z_B}P\\
&=\frac{\%Z_B}{\%Z_A+\%Z_B}P\\
&=\frac{8.33333333333}{4+8.33333333333}P\\
&=0.67567567567P\tag{5}
\end{align}$$

$$\begin{align}
P_B&=\frac{Z_A}{Z_A+Z_B}P\\
&=\frac{\%Z_A}{\%Z_A+\%Z_B}P\\
&=\frac{4}{4+8.33333333333}P\\
&=0.32432432432P\tag{6}
\end{align}$$

となる。

(答)$P_A=0.676P\left[{\rm MV・A}\right]$、$P_B=0.324P\left[{\rm MV・A}\right]$

基準容量については、変圧器Bの$12\left[{\rm MV・A}\right]$にそろえても同じ結果になります。その場合、

  • $\%Z_A=4\times\frac{12}{20}=2.4\left[\%\right]$
  • $\%Z_B=5\left[\%\right]$

であり、

$$\begin{align}
P_A&=\frac{\%Z_B}{\%Z_A+\%Z_B}P\\
&=\frac{5}{2.4+5}P\\
&=0.67567567567P
\end{align}$$

$$\begin{align}
P_B&=\frac{\%Z_A}{\%Z_A+\%Z_B}P\\
&=\frac{2.4}{2.4+5}P\\
&=0.32432432432P
\end{align}$$

となります。

小問(2)

変圧器の損失は、鉄損+銅損である。鉄損は負荷状態によって変化しない損失なので、当然負荷分担によっても変化しない一定値となる。そのため、変圧器A、変圧器Bの鉄損をそれぞれ$W_{iA}$、$W_{iB}$とすると、

$$\begin{cases}
W_{iA}=32\left[{\rm kW}\right]\\
W_{iB}=20\left[{\rm kW}\right]
\end{cases}\tag{7}$$

となる。

銅損は、負荷率(定格容量に対する皮相電力の割合)の2乗に比例する。

つまり、変圧器Aの銅損を$W_{cA}$、変圧器Bの銅損を$W_{cB}$とすれば、それぞれの変圧器の負荷分担$P_A$、$P_B$は小問(1)で求めたので、全負荷銅損との比率を計算して、

$$\begin{align}
W_{cA}&=100×\left(\frac{P_A}{20}\right)^2\\
&=100×\left(\frac{0.67567567567P}{20}\right)^2\\
&=0.114134404P^2\tag{8}
\end{align}$$

$$\begin{align}
W_{cB}&=75×\left(\frac{P_B}{12}\right)^2\\
&=75×\left(\frac{0.32432432432P}{12}\right)^2\\
&=0.0547845135P^2\tag{9}
\end{align}$$

となる。

これより、

$$P_{lA}=32+0.114134404P^2\tag{10}$$

$$P_{lB}=20+0.0547845135P^2\tag{11}$$

$$P_L=P_{lA}+P_{lB}=52+0.1689189175P^2\tag{12}$$

となる。

(答)$P_L=52+0.169P^2\left[{\rm kW}\right]$

小問(3)

最大効率の問題です。

最大効率の問題は鉄損=銅損で答えが導けます。

変圧器の最大効率の条件は鉄損=銅損なので、

$$52=0.16892P^2\tag{13}$$

より、

$$P=17.5453698332\left[{\rm MV・A}\right]\tag{14}$$

となる。

力率$90\left[\%\right]$なので、

$$\begin{align}
P_a&=0.9×P=0.9×17.5453698332\\
&=15.7908328498\left[{\rm MW}\right]\tag{15}
\end{align}$$

となる。

(答)$P_a=15.8\left[{\rm MW}\right]$

小問(4)

最大効率の時の損失は、鉄損$52\left[{\rm kW}\right]$、銅損$52\left[{\rm kW}\right]$の合計$104\left[{\rm kW}\right]$となるので、${\rm MW}$単位でそろえて効率を計算すれば、

$$\begin{align}
\eta_{max}&=\frac{15.7908328498}{15.7908328498+0.052+0.052}×100\\
&=99.345699316\left[\%\right]\tag{16}
\end{align}$$

となる。

(答)$99.3\left[\%\right]$

関連コンテンツ

この問題が難しいと感じたら、変圧器の並行運転の記事を読んでみてください。

循環電流も含めて説明しているので、より一般的な問題(難易度の高い問題)にまで対応できるようになります。

変圧器についての解説や、関連する過去問については、変圧器の解説記事一覧をご覧ください。

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