【H30 電験2種 2次 機械・制御 問4】制御対象のボード線図の描画と2自由度制御系の動作解析問題

みなさん、こんにちは!

ブリュの公式ブログ.org(for Academic Style)にお越しいただきまして、ありがとうございます!

この記事では、平成30年度 電験2種 2次試験 機械・制御 問4の過去問解説をします。

この問題は、制御対象$C\left(s\right)$の周波数応答を検討し、ボード線図を描く問題が出題されています。

ボード線図は重ね合わせで表現できるので、順に計算していけば解ける問題にはなっていますが、一次遅れ要素があるので、この処理方法を知っていなければ解けないこともあるでしょう。

問題として2自由度制御系をテーマにしている内容ではありますが、2自由度制御系の知識そのものを問うわけではなく、小問の誘導に従って、2自由度制御系の動作を解析していく問題なっています。

そして最終的な結論として、小問(6)で、簡単な論説問題が登場します。

平成30年度 電験2種 2次試験 機械・制御 問4 問題文

図1のような2自由度制御系がある。ここでは、$G\left(s\right)$は制御対象、$C\left(s\right)$及び$F\left(s\right)$は補償器である。また、$R\left(s\right)$は目標値、$D\left(s\right)$は外乱、$Y\left(s\right)$は制御量、$E\left(s\right)$は制御偏差である。この制御系について、次の問に答えよ。

(1)図1に示すフィードバック補償器$C\left(s\right)$の係数$K_P$および$T_1$の名称を答えよ。

(2)$K_P=10$、$T_1=0.1$のとき、$C\left(s\right)$の角周波数$\omega\left[{\rm rad/s}\right]$に対するゲイン特性の概形を答案用紙に印刷されている図2に折れ線近似で図示せよ。

(3)$R\left(s\right)=0$として、外乱$D\left(s\right)$から制御偏差$E\left(s\right)$までの閉ループ伝達関数を求めよ。

(4)上記小問(3)で求めた閉ループ伝達関数において、固有角周波数が$5{\rm rad/s}$、減衰係数が$0.7$となるように、$K_P$と$T_1$の値を定めよ。

(5)$D\left(s\right)=0$として、目標値$R\left(s\right)$から制御量$Y\left(s\right)$までの閉ループ伝達関数を$F\left(s\right)$、$C\left(s\right)$、$G\left(s\right)$を用いて求めよ。

(6)上記小問(3)で求めた閉ループ伝達関数は$F\left(s\right)$に依存しない。また、上記小問(5)で求めた閉ループ伝達関数は$C\left(s\right)$に依存しない。これは制御系にどんな特長をもたらすか答えよ。この性質を利用しているのが2自由度制御系である。

解答・解説

小問(1)比例ゲインと積分時間

$K_p$:比例ゲイン

$T_1$:積分時間

小問(2)制御対象のボード線図の描画

$K_P=10$, $T_1=0.1$を代入して、$C\left(s\right)$は、

$$\begin{align}
C\left(s\right)&=10\left(1+\frac{1}{0.1}s\right)\\
&=10\frac{0.1s+1}{0.1s}\\
&=100\frac{0.1s+1}{s}\tag{1}
\end{align}$$

周波数伝達関数とするため、$s=j\omega$で置き換えて、

$$C\left(j\omega\right)=100\frac{1+j0.1\omega}{j\omega}\tag{2}$$

ゲインは、

$$\begin{align}
20log\left|C\left(j\omega\right)\right|&=20log\left|100\frac{1+j0.1\omega}{j\omega}\right|\\
&=20log\left|100\right|+20log\left|1+j0.1\omega\right|-20log\left|j\omega\right|\\
&=40+20log\sqrt{1+0.1^2\omega^2}-20log\omega\tag{3}
\end{align}$$

となる。

ここで、ボード線図において、

  • $40$:定数
  • $20log\sqrt{1+{0.1}^2\omega^2}$:一次遅れ要素の逆数
  • $-20log\omega$:$-20\left[{\rm dB/dec}\right]$

の関係があるので、重ね合わせの関係で解図1のように描くことができる。

解図1

一次遅れ要素の逆数部分については、

$$20log\sqrt{1+\omega^2T^2}$$

において、

(i)$\omega T<1$の時($\omega<10$の時)

$$\begin{align}
20log\left|\sqrt{1+\omega^2T^2}\right|&\approx20log\sqrt1\\
&=0
\end{align}$$

(ii)$\omega T>1$の時($\omega>10$の時)

$$\begin{align}
20log\sqrt{1+\omega^2T^2}&\approx20log\sqrt{\omega^2T^2}\\
&=20log\omega T\\
&\rightarrow20\left[{\rm dB/dec}\right]
\end{align}$$

となります。

ゲイン線図を重ね合わせると、解図2になる。

解図2

小問(3)外乱から定常偏差までの閉ループ伝達関数

$D\left(s\right)$から$E\left(s\right)$までの伝達関数を求める。

$$E\left(s\right)=-\left\{\left(D\left(s\right)+K_p\left(1+\frac{1}{T_1s}\right)E\left(s\right)\right)\right\}\frac{1}{4s+1}\tag{4}$$

$$\left(4s+1\right)E\left(s\right)=-D\left(s\right)-K_P\left(1+\frac{1}{T_1s}\right)E\left(s\right)\tag{5}$$

$$\left\{\left(4s+1\right)+K_p\left(1+\frac{1}{T_1s}\right)\right\}E\left(s\right)=-D\left(s\right)\tag{6}$$

$$\begin{align}E\left(s\right)&=-\frac{1}{4s+1+K_p\left(1+\frac{1}{T_1s}\right)}D\left(s\right)\\
&=-\frac{T_1s}{4T_1s^2+T_1s+K_P\left(T_1s+1\right)}D\left(s\right)\\
&=-\frac{T_1s}{4T_1s^2+T_1\left(1+K_P\right)s+K_p}D\left(s\right)\tag{7}
\end{align}$$

$$\frac{E\left(s\right)}{D\left(s\right)}=-\frac{T_1s}{4T_1s^2+T_1\left(1+K_P\right)s+K_p}\tag{8}$$

(答)$\frac{E\left(s\right)}{D\left(s\right)}=-\frac{T_1s}{4T_1s^2+T_1\left(1+K_P\right)s+K_p}$

小問(4)固有角周波数の設定問題

伝達関数を変形すると、

$$\begin{align}
\frac{E\left(s\right)}{D\left(s\right)}&=-\frac{T_1s}{4T_1s^2+T_1\left(1+K_P\right)s+K_p}\\
&=-\frac{\frac{1}{4}s}{s^2+\frac{1}{4}\left(1+K_p\right)s+\frac{K_P}{4T_1}}\tag{9}
\end{align}$$

分母について、二次遅れ要素の基本形である、

$$s^2+2\xi\omega_ns+\omega_n^2\tag{10}$$

と係数比較を行うと、

$$\begin{cases}
\frac{1}{4}\left(1+K_P\right)=2\xi\omega_n\\
\frac{K_P}{4T_1}=\omega_n^2
\end{cases}\tag{11}$$

である。

$\xi=0.7$、$\omega_n=5$より、

$$\begin{cases}
\frac{1}{4}\left(1+K_P\right)=2\xi\omega_n=2×0.7×5=7\\
\frac{K_P}{4T_1}=\omega_n^2=5^2=25
\end{cases}\tag{12}$$

以上より、$K_P=27$、$T_1=0.27$となる。

(答)$K_P=27$, $T_1=0.27$

小問(5)目標値から制御量までの閉ループ伝達関数

本問のポイントは、伝達関数の導出の時に、$Y\left(s\right)$の手前にある$U\left(s\right)$を求めることです。

出力$U\left(s\right)$には、大きく分けて2つの信号の流れがあります。

■1つ目

1つ目は、$R\left(s\right)$からの直接の信号の流れで、

$$\frac{F\left(s\right)}{G\left(s\right)}R\left(s\right)$$

となります。

■2つ目

2つ目はフィードバックループで、Y(s)を含む信号であり、

$$C\left(s\right)\left(F\left(s\right)R\left(s\right)-Y\left(s\right)\right)$$

となります。

これらの和が$U\left(s\right)$であり、$U\left(s\right)$に$G\left(s\right)=\frac{1}{4s+1}$をかけたものが、$Y\left(s\right)$となります。

一見ややこしいブロック線図でも、順番に信号の流れを追っていけば、そこまで難しくはありません。

$$Y\left(s\right)=G\left(s\right)\left\{\frac{F\left(s\right)}{G\left(s\right)}R\left(s\right)+C\left(s\right)\left\{F\left(s\right)R\left(s\right)-Y\left(s\right)\right\}\right\}\tag{13}$$

$$\left(1+G\left(s\right)C\left(s\right)\right)Y\left(s\right)=F\left(s\right)\left(1+G\left(s\right)C\left(s\right)\right)R\left(s\right)\tag{14}$$

$$\begin{align}
\frac{Y\left(s\right)}{R\left(s\right)}&=\frac{1+G\left(s\right)C\left(s\right)}{1+G\left(s\right)C\left(s\right)}F\left(s\right)\\
&=F\left(s\right)\tag{15}
\end{align}$$

(答)$\frac{Y\left(s\right)}{R\left(s\right)}=F\left(s\right)$

小問(6)2自由度制御系に関する論説問題

目標値応答特性は$F\left(s\right)$で設計でき、フィードバック制御特性は$C\left(s\right)$で設計できる。以上のように、2つの補償器を使用して、目標値応答特性とフィードバック応答特性を、独立に設計することができる。

小問(6)については、計算結果に対してそのままの回答です。

もっと面白いのが、小問(1)~(5)が解けていなくても、小問(6)の問題文を読むだけで正答を想像できるでしょう。(言い換えるなら、問題文自体が答えでもあります。)

なんだか当たり前のことに対して当たり前の回答を書くだけなので、なんとなく違和感はありますが、標準回答でも当たり前のことが書かれており、これで正解なのでしょう。

結局何が言えるのかというと、計算主体の問題における論説問題は、ある意味で当たり前のことが聞かれて、当たり前のことを答えるということです。

特に捻って考える必要もなく、そのまま書けば点数になります。

タイトルとURLをコピーしました