【電験2種 2次試験 直前対策】機械・制御 受験のコツ、重要事項・重要ポイント 総まとめ

電験2種 変圧器の重要事項の総まとめページです。

対策範囲の目安として、試験対策にお役立てください。

電験2種合格のためには、基本的には全て導出過程も理解する必要があります。

以下の内容について、導出ができるかも確認してください。

書籍版

■書籍版もあります!

(電力・管理/機械・制御両対応)

電験2種 二次試験 直前対策の超薄型参考書
著者:ブリュの公式ブログ
出版:BOOKs Project
内容:重要事項の総まとめ
電力・管理:(故障電流/送配電・変電・管理/発電)
機械・制御:(変圧器/誘導機/同期機/直流機/パワエレ/自動制御/周波数応答)
(41ページ, カラー印刷)

目次

変圧器の重要事項

変圧器のポイントとして、等価回路、効率計算、特性試験、電圧変動率、並列運転があります。計算時には、1次側換算か、2次側換算かに注意しながら計算してください。電圧変動率を除き、計算は比較的シンプルです。

(1)等価回路

T形とL型

変圧器の等価回路にはT形とL型がある。厳密にはT形だが計算が簡単なのはL型。電験では通常L形で考える。

T形等価回路

L型等価回路

換算

インピーダンスを1次側に換算する時、1次側2次側電圧・電流を$V_1$, $V_2$, $I_1$, $I_2$、巻数比$a$とすれば、

(i)1次側に換算

$$\frac{V_1}{I_1}=\frac{aV_2}{\frac{I_2}{a}}=a^2\frac{V_2}{I_2}$$

より、インピーダンスを$a^2$倍にする。

(ii)2次側に換算

$$\frac{V_2}{I_2}=\frac{\frac{V_1}{a}}{\frac{aI_1}{a}}=\frac{1}{a^2}\frac{V_1}{I_1}$$

より、インピーダンスを$\frac{1}{a^2}$倍する。

(2)効率

規約効率

変圧器の出力$P=VIcos\theta$、銅損$P_c=RI^2$、鉄損$P_i$とすれば、規約効率$\eta$は、

$$\begin{align}
\eta&=\frac{P}{P+P_c+P_i}\times100\left[\%\right]\\
&=\frac{VIcos\theta}{VIcos\theta+RI^2+P_i}\times100\left[\%\right]
\end{align}$$

で示される。

最大効率

規約効率を以下のとおり変形し、

$$\eta=\frac{Vcos\theta}{Vcos\theta+RI+\frac{P_i}{I}}\times100\left[\%\right]$$

変数$I$に関して関数$f\left(I\right)$として取り出し、

$$f\left(I\right)=RI+\frac{P_i}{I}$$

が最小であればいい。

$$\frac{df\left(I\right)}{dI}=R-\frac{P_i}{I^2}=0$$

$$P_c=RI^2=P_i$$

よって、銅損=鉄損の時効率が最大になる。

全日効率

電力量で計算すればいい。鉄損は負荷に関係なく一定値が生じることに注意。(たとえ出力0でも鉄損は一定に損失する。)

(3)特性試験

短絡試験

1次側または2次側の巻線を短絡し、他端から大きな負荷電流を流すことで巻線のインピーダンスを求める。励磁電流は小さく無視できる。

開放試験

1次側または2次側の巻線を開放し、他端から電流を流すことで励磁回路のインピーダンスを求める。負荷電流は限りなく0であるため無視できる。

(4)電圧変動率

無負荷端子電圧が定格電圧に等しい時、定格電流を出力したときにどの程度電圧が低下するかを見る指標。変圧器のベクトル図は以下のとおり。

ベクトル図から、

$${V_{20}}^2=\left(V_{21}+RIcos\theta+XIsin\theta\right)^2+\left(XIcos\theta-RIsin\theta\right)^2$$

が計算でき、パーセント抵抗p[%]、パーセントリアクタンスq[%]とすれば、

$$\begin{align}
\epsilon&=\frac{V_{20}-V_{21}}{V_{21}}\times100\\
&=pcos\theta+qsin\theta+\frac{\left(qcos\theta-psin\theta\right)^2}{200}
\end{align}$$

となる。通常、右辺第3項は小さいので無視でき、

$$\epsilon=pcos\theta+qsin\theta\left[\%\right]$$

となる。

(5)並列運転

変圧器A、Bが図のように並列運転しているとき、を考える。

分担する電流$\dot{I_{A0}}$, $\dot{I_{B0}}$は、

$$\dot{I_{A0}}=\frac{\dot{Z_B}}{\dot{Z_A}+\dot{Z_B}}\dot{I}+\frac{\frac{1}{n_1}-\frac{1}{n_2}}{\dot{Z_A}+\dot{Z_B}}\dot{V_1}$$

$$\dot{I_{B0}}=\frac{\dot{Z_A}}{\dot{Z_A}+\dot{Z_B}}\dot{I}-\frac{\frac{1}{n_1}-\frac{1}{n_2}}{\dot{Z_A}+\dot{Z_B}}\dot{V_1}$$

また循環電流として、$\dot{I_{roop}}$が流れる。

$$\dot{I_{roop}}=\frac{\frac{1}{n_1}-\frac{1}{n_2}}{\dot{Z_A}+\dot{Z_B}}\dot{V_1}$$

詳細解説記事

変圧器の並行運転について

誘導機の重要事項

誘導機のポイントは、L形等価回路、特性計算、比例推移です。等価回路は基本的に1次側換算のL形等価回路なのでワンパターンになります。比例推移はトルクと滑りの比例(近似的な特性)と組み合わせた問題に注意。最大トルク、最高出力は計算が複雑になります。

同期速度と滑り

誘導電動機の極数$p$、交流周波数$f\left[{\rm Hz}\right]$とすれば同期速度$N_0$は、

$$N_0=\frac{120}{p}f\left[min^{-1}\right]$$

この時、回転数$N\left[min^{-1}\right]$で回転していたとすれば、滑り$s$は、

$$S=\frac{N_0-N}{N_0}$$

等価回路

誘導電動機の等価回路は変圧器に似たものとなる。

特性計算

入力する相電圧$V_1’$、1次巻線抵抗、リアクタンスをそれぞれ$r_1$, $x_1$、2次巻線抵抗、リアクタンスの1次側換算値を$r_2’$, 、$2x_1’$とする。

2次電流の1次側換算値$I_2´$

$$I_2´=\frac{V_1}{\sqrt{\left(x_1+x_2´\right)^2+\left(r_1+\frac{1}{s}r_2´\right)^2}}$$

2次入力$P_2$(回転子に加わるエネルギー)

$$P_2=3I_2´^2\frac{1}{s}r_2’$$

2次銅損$P_{2c}$

$$P_{2c}=3I_2´^2r_2´$$

機械的出力$P_0$

$$P_o=3I_2´^2\frac{1-s}{s}r_2´$$

トルク$T$

機械的な同期角速度を$\omega_0$とすると、

$$T=\frac{P_0}{\left(1-s\right)\omega_0}$$

同時に、$P_0=\left(1-s\right)P_2$から、

$$T=\frac{P_2}{\omega_0}$$

詳細解説記事

三相誘導電動機の特性計算

最大トルク$T_m$

$\frac{dT}{ds}=0$より最大トルクとなる$s_T$が計算できるので、

$$s_T=\frac{r_2´}{\sqrt{r_1^2+\left(x_1+x_2´\right)^2}}$$

$$T_m=\frac{3V_1^2}{2\omega_0\left\{\sqrt{r_1^2+\left(x_1+x_2´\right)^2}+r_1\right\}}$$

最高出力

$\frac{dP_0}{ds}=0$より、最高出力となる$s_P$が計算できて、

$$s_P=\frac{r_2´}{\sqrt{\left(r_1+r_2´\right)^2+\left(x_1+x_2´\right)^2}+r_2´}$$

$$P_{max}=\frac{3V_1^2\sqrt{\left(r_1+r_2´\right)^2+\left(x_1+x_2´\right)^2}}{\left(x_1+x_2´\right)^2+\left(r_1+r_2´+\sqrt{\left(r_1+r_2´\right)^2+\left(x_1+x_2´\right)^2}\right)^2}$$

比例推移

2次電流$I_2’$、2次入力$P_2$、トルク$T$のように、特性式において$\frac{r_2’}{s}$の項があれば、回転数$N$が変化したときの滑り$s$の変化率と同じだけ2次抵抗$r_2’$の値を変化させれば、同じ特性値が得られる。

なお、比例推移は巻線形誘導電動機のみ有効。

かご形誘導電動機は2次端子がないため2次抵抗の制御はできない。

トルク-滑りの比例関係

下図に示す通り、滑りsが小さい範囲ではトルクと滑りは近似的に比例する。比例推移との絡んだ問題が出題されることがあるので要注意。

同期機

同期機のポイントは等価回路とベクトル図、特性曲線(無負荷飽和曲線・三相短絡曲線)です。等価回路とベクトル図のみで計算できるので、過去の出題パターンは似ています。特性曲線は界磁電流と短絡比の関係が重要であり、導出も含め要チェックです。

同期速度

同期機の極数$p$、交流周波数$f\left[{\rm Hz}\right]$とすれば同期速度$N_0$は、

$$N_0=\frac{120}{p}f\left[min^{-1}\right]$$

(同期速度の計算は誘導機と同じ。)

等価回路とベクトル図

同期発電機の等価回路は交流発電機に同期リアクタンス$jX$を接続したものになる。

ベクトル図は端子電圧に$jX\dot{I}$を加えると内部誘導起電力になる。

ここで、内部相差角(負荷角)$\delta$、インピーダンス角$\alpha$、力率$\Phi$、内部誘導起電力と負荷電流の位相差$\theta\left(\delta+\Phi\right)$である。

特性計算

■無負荷誘導起電力$\dot{E_0}$

ベクトル図より、$\dot{E_0}$について実軸成分が、

$$V+r_aIcos\theta+x_sIsin\theta=E_0cos\delta$$

であり、虚軸成分は、

$$x_sIcos\theta-r_aIsin\theta=E_0sin\delta$$

となる。

これより、

$$E_0=\sqrt{V^2+{Z_S}^2I^2+2VI\left(r_acos\theta+x_ssin\theta\right)}$$

■内部相差角$\delta$

$$\begin{align}
\delta&=tan^{-1}\frac{Im\left[\dot{E_0}\right]}{Re\left[\dot{E_0}\right]}\\
&=tan^{-1}\left(\frac{x_sIcos\theta-r_aIsin\theta}{V+r_aIcos\theta+x_sIsin\theta}\right)
\end{align}$$

■出力式

一般的に巻線抵抗$r_a$は非常に小さいので無視される。この時、ベクトル図より、

$$\dot{I}=\frac{\dot{E_0}-\dot{V}}{jX_S}$$

であり、1相当たりの複素電力は、

$$\begin{align}
\dot{S}&=\dot{V}\dot{I^\ast}\\
&=\frac{E_0V}{X_s}sin\delta+j\frac{E_0cos\delta-V}{X_S}V
\end{align}$$

$$\begin{cases}
P=Re\left[\dot{S}\right]=\frac{E_0V}{X_S}sin\delta\\
Q=Im\left[\dot{S}\right]=\frac{E_0cos\delta-V}{X_S}V
\end{cases}$$

となる。

並列運転

同期発電機A、Bが並列運転し、それぞれが電流$\dot{I_A}$、$\dot{I_B}$を供給し、負荷に電流$\dot{I}=\dot{I_A}+\dot{I_B}$を供給している状況を考える。

等価回路より、

$$\dot{I_A}=\frac{\dot{Z_B}}{\dot{Z_A}+\dot{Z_B}}\dot{I}+\frac{\dot{E_{0A}}-\dot{E_{0B}}}{\dot{Z_A}+\dot{Z_B}}$$

$$\dot{I_B}=\frac{\dot{Z_A}}{\dot{Z_A}+\dot{Z_B}}\dot{I}-\frac{\dot{E_{0A}}-\dot{E_{0B}}}{\dot{Z_A}+\dot{Z_B}}$$

循環電流は

$$\dot{I_{roop}}=\frac{\dot{E_{0A}}-\dot{E_{0B}}}{\dot{Z_A}+\dot{Z_B}}$$

となる。

無負荷飽和曲線と三相短絡曲線

同期発電機を無負荷のまま定格速度で回転させ、界磁電流を徐々に大きくしていくと、途中で磁気飽和し頭打ちのある曲線になる。同期発電機を短絡し定格速度で回転させ、界磁電流を徐々に大きくしていくと、短絡電流も直線的に増加する。

短絡比$K$、短絡電流$I_S$、定格電流$I_n$、短絡状態で定格電流に等しい短絡電流を流す界磁電流$I_{f1}$、無負荷で定格電圧を発生させる界磁電流$I_{f2}$とすれば、以下の式が成り立つ。これは、三相短絡曲線の直線的な特性を利用し導かれるものである。

$$K=\frac{I_s}{I_n}=\frac{I_{f2}}{I_{f1}}$$

同期電動機

下図のとおり、同期機に外部電源からエネルギーを供給すれば電動機になる。

ベクトル図は以下のようになる。発電機と違い、端子電圧$\dot{V}$が内部誘導起電力$\dot{E_0}$より進相になる点に注意。

電動機でも同様に、巻線抵抗$r_a$が非常に小さく無視できるとすれば、

$$\dot{I}=\frac{\dot{V}-\dot{E_0}}{jX_S}$$

同期電動機の1相当たりの機械出力$P$は

$$P=Re\left[\dot{E_0}{\dot{I}}^\ast\right]=\frac{E_0V}{X_S}sin\delta$$

となり、同期発電機と同期電動機は同じ出力式となることがわかる。

※厳密には、同期発電機の出力式の$E_0$と$V$を入れ替えたものに等しい。

直流機

直流機のポイントは誘導起電力の計算と種類に関する知識です。誘導起電力の公式を知っていれば、単なる直流計算のみなので他の電気機器と比べて最も容易です。最近は出題例がないですが、パワーエレクトロニクスと関連して出題される場合があります。

誘導起電力

極数$p$、毎極の磁束$\Phi$、電機子導体数$Z$、並列回路数$a$、回転速度$N\left[min^{-1}\right]$の時、誘導起電力$E$は、

$$E=\frac{p}{a}Z\mathrm{\Phi}\frac{N}{60}$$

電圧変動率

無負荷端子電圧$V_0$、定格電圧$V_n$とするとき、電圧変動率$\epsilon$は、

$$\epsilon=\frac{V_0-V_n}{V_n}\times100$$

出力式

直流発電機は外部から$P_i=EI_a$の機械的エネルギーを受け取り、負荷に$P_o=VI_a$の電気エネルギーを供給する。巻線抵抗$r_a$の電圧降下$r_aI_a$など、あとは直流回路の計算問題になる。

直流電動機は外部電源から$P_i=VI_a$のエネルギーを受け取り、機械出力として$P_o=EI_a$を出力する。発電機同様、あとは直流回路の計算問題になる。

種類

■他励式

■直巻

■分巻

■複巻外分巻

■複巻内分巻

並列運転

直流発電機AとBが並列運転し、それぞれが負荷電流$I_a$、$I_b$を供給し、負荷に$I=I_a+I_b$を供給している状況を考える。

回路図を基に計算すれば、(直流回路なのでキルヒホッフの法則で簡単に計算できる。)

$$I_a=\frac{r_b}{r_a+r_b}I+\frac{E_a-E_b}{r_a+r_b}$$

$$I_b=\frac{r_a}{r_a+r_b}I-\frac{E_a-E_b}{r_a+r_b}$$

となる。

また、循環電流は、

$$I_{roop}=\frac{E_a-E_b}{r_a+r_b}$$

となる。

パワーエレクトロニクス

パワーエレクトロニクスは、チョッパ回路、整流回路、インバータがメインです。積分計算が多く、他分野と比較して相対的に難易度は高めですが、計算に慣れてしまえばパターン化されるので、試験問題選択時の回避先としては十分選択の余地があります。

(1)チョッパ回路

■昇圧チョッパ回路

昇圧チョッパ回路は電源電圧を昇圧する($E_1\leqq E_2$)。

スイッチのON時間を$T_{on}$、制御周期を$T$とすれば、出力電圧$E_2$は、

$$E_2=\frac{T}{T-T_{on}}E_1=\frac{1}{1-\frac{T_{on}}{T}}E_1=\frac{1}{1-\delta}E_1$$

となる。

ただし、$\delta=\frac{T_{on}}{T}$であり、通流比という。

■降圧チョッパ回路

降圧チョッパ回路は電源電圧を降圧する($E_1\geqq E_2$)。

出力電圧$E_2$は、

$$E_2=\frac{T_{on}}{T}E_1=\delta E_1$$\\

となる。

■昇降圧チョッパ回路

昇降圧チョッパ回路は、電源電圧を昇圧または降圧する。$\delta=0.5$を境に、$0<\delta<0.5$で降圧動作、$0.5<\delta<1$で昇圧動作を行う。

$$E_2=\frac{T_{on}}{T-T_{on}}E_1=\frac{\frac{T_{on}}{T}}{1-\frac{T_{on}}{T}}E_1=\frac{\delta}{1-\delta}E_1$$

回路図においては、出力電圧$E_2$の向きに注意する。

(2)整流回路

交流電源とダイオード・サイリスタで構成する。以下、$E_{DC}$は波形より計算した直流平均電圧、$E$は交流(相)電圧実効値、$V$は線間電圧実効値($V=\sqrt3E$)を示す。

■単相半波整流回路

(i)ダイオードで構成する場合
①純抵抗負荷

$$E_{DC}=\frac{\sqrt2}{\pi}E\fallingdotseq0.45E$$

②誘導性負荷

$$E_{DC}=\frac{1+cos\beta}{\sqrt2\pi}E$$

(ii)サイリスタで構成する場合
①純抵抗負荷

$$E_{DC}=\frac{1+cos\alpha}{\sqrt2\pi}E$$

②誘導性負荷

$$E_{DC}=\frac{cos\alpha+cos\beta}{\sqrt2\pi}E$$

■単相全波整流回路

①ダイオードで構成する場合
(i)純抵抗負荷

$$E_{DC}=\frac{2\sqrt2}{\pi}E=0.90E$$

(ii)十分大きなコンデンサによる平滑化

$E_{DC}$は交流電圧波高値$E_p$で一定になる。

②サイリスタで構成する場合
(i)純抵抗負荷

$$E_{DC}=\frac{\sqrt2\left(1+cos\alpha\right)}{\pi}E$$

(ii)誘導性負荷

$$E_{DC}=\frac{2\sqrt2cos\alpha}{\pi}E$$

■三相半波整流回路

(i)ダイオードで構成する場合

$$E_{DC}=\frac{3\sqrt6}{2\pi}E$$

(ii)サイリスタで構成する場合
①純抵抗負荷

制御角が$0\leqq\alpha\leqq\frac{\pi}{6}$のとき

$$E_{DC}=\frac{3\sqrt6}{2\pi}Ecos\alpha$$

制御角が$\frac{\pi}{6}\leqq\alpha$のとき

$$E_{DC}=\frac{3\sqrt2}{2\pi}E\left\{1+cos\left(\frac{\pi}{6}+\alpha\right)\right\}$$

②誘導負荷

純抵抗負荷($0\leqq\alpha\leqq\frac{\pi}{6}$)と同じ。

■三相全波整流回路

三相全波整流回路は、他の整流回路と異なり、線間電圧が出力される点に注意。(線間電圧の最も高い組みを出力。)

(i)ダイオードで構成する場合
①純抵抗負荷

$$E_{DC}=\frac{3\sqrt2}{\pi}V$$

②十分大きなコンデンサによる平滑化

$E_{DC}$は交流線間電圧波高値$V_p$で一定。

(ii)サイリスタで構成する場合
①純抵抗負荷

制御角$0\leqq\alpha\leqq\frac{\pi}{3}$のとき

$$E_{DC}=\frac{3\sqrt2}{\pi}Vcos\alpha$$

制御角$\alpha\geqq\frac{\pi}{3}$のとき

$$E_{DC}=\frac{3\sqrt2}{\pi}V\left\{1+cos\left(\alpha+\frac{\pi}{3}\right)\right\}$$

②誘導性負荷

純抵抗負荷($0\leqq\alpha\leqq\frac{\pi}{3}$)と同じ。

(3)インバータ回路

(i)単相ハーフブリッジインバータ

PWM制御時の出力電圧$e_{out}$は、

$$e_{out}=\frac{1}{2}aEsin\omega t$$

(ii)単相フルブリッジインバータ

PWM制御時の出力電圧$e_{out}$は、

$$e_{out}=aEsin\omega t$$

(iii)三相インバータ

PWM制御時の出力電圧(線間電圧)は、

$$\begin{cases}
v_{ab}&=\frac{\sqrt3}{2}aEsin\left(\omega t+\frac{\pi}{6}\right)\\
v_{bc}&=\frac{\sqrt3}{2}aEsin\left(\omega t-\frac{\pi}{2}\right)\\
v_{ca}&=\frac{\sqrt3}{2}aEsinn\left(\omega t+\frac{5}{6}\pi\right)
\end{cases}$$

となる。

自動制御($s$領域)

自動制御($s$領域)ではラプラス変換表の暗記の他、各種計算があります。試験問題では、多くの場合フィードバック制御系の伝達関数を求め、特性方程式から安定条件を探す・与えるといったパターンで決まっているので、得点源にしやすい分野です。

(1)ラプラス変換

ラプラス変換の定義式は

$$\mathcal{L}\left[f\left(t\right)\right]=\int_{0}^{\infty}{f\left(t\right)e^{-st}}dt$$

であるが、通常は以下のラプラス変換表を暗記して既知のものとして取り扱う。

$f(t)$ $F(s)$
$\delta\left(t\right)$ $1$
$u\left(t\right)$ $\frac{1}{s}$
$t$ $\frac{1}{s^2}$
$t^n$ $\frac{n!}{s^{n+1}}$
$e^{-at}$ $\frac{1}{s+a}$
$te^{-at}$ $\frac{1}{\left(s+a\right)^2}$
$cos\ \omega t$ $\frac{s}{s^2+\omega^2}$
$sin\ \omega t$ $\frac{\omega}{s^2+\omega^2}$
$\frac{dx\left(t\right)}{dt}$ $sX\left(s\right)-x\left(0\right)$
$\int x\left(t\right)dt$ $\frac{X\left(s\right)}{s}+\frac{x^{-1}\left(0\right)}{s}$
$e^{-at}cos\ \omega t$ $\frac{s+a}{\left(s+a\right)^2+\omega^2}$
$e^{-at}sin\ \omega t$ $\frac{\omega}{\left(s+a\right)^2+\omega^2}$

(2)初期値定理と最終値定理

初期値定理と最終値定理はいずれの場合も微分のラプラス変換

$$\int_{0}^{\infty}{\frac{dx\left(t\right)}{dt}e^{-st}dt}=sX\left(s\right)-x\left(0\right)$$

において、$s→∞$や$s→0$を計算することで導ける。

■初期値定理

$$x\left(0\right)=\lim_{s\rightarrow\infty}{s}X\left(s\right)$$

■最終値定理

$$x\left(\infty\right)=\lim_{s\rightarrow0}{sX\left(s\right)}$$

(3)伝達関数とブロック線図

■伝達関数とブロック線図

$s$領域において、入力信号$X\left(s\right)$、出力信号$Y\left(s\right)$のとき、

$$G\left(s\right)=\frac{Y\left(s\right)}{X\left(s\right)}$$

を伝達関数という。伝達関数を図で示せば下図になり、これをブロック線図という。

■ブロック線図の等価変換

(i)加え合わせ点を要素の後に移動

変換前

変換後

(ii)加え合わせ点を要素の前に移動

変換前

変換後

(iii)引出し点を要素の後に移動

変換前

変換後

(iv) 引出し点を要素の前に移動

変換前

変換後

(4)フィードバック制御系

■ブロック線図と伝達関数

フィードバック制御系のブロック線図を下図に示す。

の伝達関数$G\left(s\right)$は、

$$G\left(s\right)=\frac{{\rm 前向き伝達関数}}{1+{\rm 一巡伝達関数}}$$

となる。

■定常偏差

ブロック線図における$E\left(s\right)$は、目標値$R\left(s\right)$と出力Y\left(s\right)の差であり、これを偏差という。フィードバック制御系は、偏差$E\left(s\right)=0$にするよう制御するが、時には無限に時間が経過しても偏差が残る場合があり、これを定常偏差という。定常偏差は、一般的には$E\left(s\right)$に対し、最終値の定理を適用して求めることが多い。

(5)二次遅れ要素

二次遅れ要素の伝達関数$G\left(s\right)$の一般系は、

$$G\left(s\right)=\frac{\omega_n^2}{s^2+2\xi\omega_ns+\omega_n^2}$$

であり、$\xi$を減衰係数、$\omega_n$を固有角周波数という。分母=0、すなわち

$$s^2+2\xi\omega_ns+\omega_n^2=0$$

としたときの$s$の解を極といい、解の公式から以下のように求まる。

$$s=\omega_n\left(-\xi\pm\sqrt{\xi^2-1}\right)$$

極の値について、実数解の時は減衰曲線となり、振動はしない。虚数解を持つ場合には振動しながら減衰する曲線になる。

電験では、二次遅れ要素のインパルス応答やステップ応答が問われやすい。

(i)インパルス応答

安定であれば0に収束、不安定であれば発散、安定限界であれば振動する。

(ii)ステップ応答(インディシャル応答)

安定であれば1(目標値)に収束、不安定であれば発散、安定限界であれば振動する。

(6)安定性判別

実部が正となる極が、たった一つでもある場合、その制御系は不安定になる。これは特性方程式を解けばわかることではあるが、3次、4次と次数が増えるほど計算も難しくなる。そこで、ラウス・フルビッツの安定判別法を使用し、高次の特性方程式を解くことなく、簡単に安定性の判別を行う。

■ラウスの安定判別法

特性方程式

$$a_0s^n+a_1s^{n-1}+・・・+a_{n-1}s+a_n=0$$

において、$a_0$~$a_n$がすべて同符号であり、以下の式のラウス数列がすべて同符号であれば制御系は安定である。(実部が正となる極を持たない。)

$$\begin{matrix}
s^n & a_0 & a_2 & a_4 &・・・\\
s^{n-1} & a_1 & a_3 & a_5 & ・・・\\
s^{n-2} & b_1 & b_3 & b_5 & ・・・\\
s^{n-3} & c_1 & c_3 & c_5 & ・・・\\
・&・&・&・&・・・\\
・&・&・&・&・・・\\
・&・&・&・&・・・\\
s^1 & ・& ・ & ・ & ・・・\\
s^0 &  ・ & ・ & ・ & ・・・
\end{matrix}$$

ただし、ラウス数列の各値は、以下のように、

$$b_1=\frac{-\left|\begin{matrix}a_0 & a_2 \\ a_1 & a_3 \end{matrix}\right|}{a_1}=\frac{a_1a_2-a_0a_3}{a_1}$$

$$b_3=\frac{-\left|\begin{matrix}a_0 & a_4 \\ a_1 & a_5 \end{matrix}\right|}{a_1}=\frac{a_1a_4-a_0a_5}{a_1}$$

と続き、

$$c_1=\frac{-\left|\begin{matrix}a_1 & a_3 \\ b_1 & b_3 \end{matrix}\right|}{b_1}=\frac{a_3b_1-a_1b_3}{b_1}$$

$$c_3=\frac{-\left|\begin{matrix}a_1 & a_5 \\ b_1 & b_5 \end{matrix}\right|}{b_1}=\frac{a_5b_1-a_1b_5}{b_1}$$

と、順に計算していく。

■フルビッツの安定判別法

特性方程式

$$a_0s^n+a_1s^{n-1}+・・・+a_{n-1}s+a_n=0$$

において、$a_0$~$a_n$がすべて同符号であり、以下のフルビッツ小行列式がすべて正であれば制御系は安定である。(実部が正となる極を持たない。)

$$\Delta n=\left|\begin{matrix}
a_1 & a_3 & a_5 & a_7 & ・・・ & 0\\
a_0 & a_2 & a_4 & a_6 & ・・・ & 0\\
0 & a_1 & a_3 & a_5 & ・・・ & 0\\
0 & a_0 & a_2 & a_6 & ・・・ & 0\\
・&・&・&・&・・・&・\\
・&・&・&・&・・・&・\\
・&・&・&・&・・・&・\\
0 & 0 & 0 & 0 & ・・・ & a_n
\end{matrix}\right|$$

自動制御(周波数応答)

周波数応答では、$s$領域との関連性に注意してください。同じシステムを周波数分解したものが周波数応答なので、フーリエ級数展開・フーリエ変換で、元の$s$領域に戻ります。そのため、ラウス・フルビッツとナイキストの安定判別法は同じ結果を得ます。

(1)周波数伝達関数

$s$領域の伝達関数$G\left(s\right)$について、$s=j\omega$で置き換え、$G\left(j\omega\right)$としたものを周波数伝達関数という。

周波数伝達関数において、ゲインを

$$\left|G\left(j\omega\right)\right|=\sqrt{\left(Re\left[G\left(j\omega\right)\right]\right)^2+\left(Im\left[G\left(j\omega\right)\right]\right)^2}$$

偏角を、

$$\angle G\left(j\omega\right)=-tan^{-1}\frac{Im\left[G\left(j\omega\right)\right]}{Re\left[G\left(j\omega\right)\right]}$$

と計算する。

ゲインは正弦波入力を$\left|G\left(j\omega\right)\right|$倍し、偏角は位相$\angle G\left(j\omega\right)$だけ進める、または遅らせる。

周波数伝達関数は、対象システムの特定の周波数を抜き出したものであり、検討しているシステムは同じもの。したがって、$s$領域と周波数応答は全く別のものであるという考えは誤り。最終的にはフーリエ変換によって両者は関連付けられる。

(2)ベクトル軌跡

$\omega$の値を$0$~無限大まで変化させたときの複素平面上における周波数伝達関数$G\left(j\omega\right)$の軌跡をベクトル軌跡という。

■比例要素

周波数伝達関数は

$$G\left(j\omega\right)=K$$

であり、$\omega$に依存しないので1点になる。

■積分要素

周波数伝達関数は、

$$G\left(j\omega\right)=\frac{1}{j\omega}$$

であり、虚軸のマイナスの無限遠点から原点に収束する。

■微分要素

周波数伝達関数は、

$$G\left(j\omega\right)=j\omega$$

であり、原点から虚軸正の方向に発散する。

■むだ時間要素

周波数伝達関数は、

$$G\left(j\omega\right)=e^{-j\omega T}$$

であり、半径1の円で原点の周りを回転する。

■一次遅れ要素

一次遅れ要素のベクトル軌跡は下図になる。

一次遅れ要素の周波数伝達関数は、

$$G\left(j\omega\right)=\frac{1}{1+j\omega T}$$

であり、実部、虚部に分解して考えれば、

$$\left(x-\frac{1}{2}\right)^2+y^2=\left(\frac{1}{2}\right)^2$$

となるため、中心が$\left(\frac{1}{2},0\right)$、半径$\frac{1}{2}$の円の下半分を原点に向かって移動する軌跡になる。

(3)ボード線図

片対数グラフにゲイン$20log\left|G\left(j\omega\right)\right|$と、偏角$\angle G\left(j\omega\right)$をプロットしたもののこと。

■比例要素

■積分要素

■微分要素

■むだ時間要素

■1次遅れ要素

ゲインについては、$\omega=\frac{1}{T}$、偏角については、$\omega=\frac{1}{5T}$, $\omega=\frac{5}{T}$で折れる線になる。

(4)二次遅れ要素の周波数応答

二次遅れ要素の周波数応答は、下図のように共振値を持つ場合がある。

二次遅れ要素$G\left(s\right)をs=j\omega$として周波数伝達関数$G\left(j\omega\right)$とし、そのゲイン$M$を、

$$\begin{align}
M&=\left|G\left(j\omega\right)\right|\\
&=\left|\frac{\omega_n^2}{\left(j\omega\right)^2+2j\xi\omega_n\omega+\omega_n^2}\right|\\
&=\frac{1}{\sqrt{\left\{1-\left(\frac{\omega}{\omega_n}\right)^2\right\}^2+\left(2\xi\frac{\omega}{\omega_n}\right)^2}}\\
&=\frac{1}{\sqrt{\left(1-u^2\right)^2+\left(2\xi u\right)^2}}
\end{align}$$

として、$\frac{dM}{du}$を計算すれば、共振値と共振角周波数が計算できて、
共振値$M_{max}$は、

$$M_{max}=\frac{1}{2\xi\sqrt{1-\xi^2}}$$

共振角周波数$\omega_{max}$は、

$$\omega_{max}=\omega_n\sqrt{1-2\xi^2}$$

(5)ナイキストの安定判別法

フィードバック制御系の一巡伝達関数について、$\omega$を変化させたとき、その複素平面上での軌跡(ナイキスト線図)を描いたとき、下図のように、軌跡が($-1$, $0$)を左に見て進めば安定、右に見て進めば不安定となる。

電験2種 2次試験 機械・制御科目 参考書一覧

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電力・管理:(故障電流/送配電・変電・管理/発電)
機械・制御:(変圧器/誘導機/同期機/直流機/パワエレ/自動制御/周波数応答)
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みんなのおススメ! 電験2種 2次試験 機械・制御の計算対策 (電気機器編)
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出版:BOOKs Project
内容:変圧器/誘導機/同期機/直流機
(213ページ, カラー印刷)

■パワーエレクトロニクス

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出版:BOOKs Project
内容:パワエレの基礎/チョッパ回路/整流回路/インバータ
(203ページ, カラー印刷)

■自動制御

みんなのおススメ! 電験2種 2次試験 機械・制御の計算対策 (自動制御編)
著者:ブリュの公式ブログ
出版:BOOKs Project
内容:ラプラス変換/$s$領域/周波数応答
(197ページ, カラー印刷)