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今回は、令和3年度 電験2種 2次試験 電力・管理 問6の回答・解説を行います。
目次
問題
定格出力120MW、定格周波数50Hzの同期発電機Aと定格出力80MW、定格周波数50Hz、速度調定率4.0%の同期発電機Bとが並列運転可能な電力系統がある。次の問に答えよ。ただし、調速機(ガバナ)の特性は線形であるとし、負荷の周波数特性は無視する。
(1)発電機Aのみの運転によって、系統周波数が50.00Hzに保たれているとする。発電機が出力80MWで運転しているときに系統負荷が40MW減少した結果、周波数が50.50Hzとなった。発電機Aの速度調定率[%]を求めよ。ただし、有効数字は、小数点以下1桁とする。
(2)出力100MWで運転中の発電機Aと出力80MWで運転中の発電機Bとが並列運転を行っており、系統周波数が50.00Hzに保たれているとする。系統負荷が30MW減少したときの、系統周波数[Hz]、発電機Aの出力[MW]、及び発電機Bの出力[MW]を求めよ。ただし、系統周波数の有効数字は、小数点以下2桁とする。
回答・解説
本問は負荷遮断試験に伴う速度調定率$R$について、定義式通りに計算すれば答えが出てくる、シンプルな問題です。
$$\begin{align}
R&=\frac{\frac{N_2-N_1}{N_N}}{\frac{P_1-P_2}{P_n}}×100\left[\%\right]\\
&=\frac{\frac{f_2-f_1}{f_N}}{\frac{P_1-P_2}{P_n}}×100\left[\%\right]
\end{align}$$
- $N_1$:発電機出力が$P_1$[kW]の時の回転速度$\left[\rm{min}^{-1}\right]$
- $N_2$:発電機出力が$P_2$[kW]の時の回転速度$\left[\rm{min}^{-1}\right]$
- $N_n$:定格回転速度$\left[\rm{min}^{-1}\right]$
- $P_n$:発電機の定格出力[kW]
- $f_1$:発電機出力が$P_1$[kW]の時の周波数[Hz]
- $f_2$:発電機出力が$P_2$[kW]の時の周波数[Hz]
- $f_n$:定格周波数[Hz]
注意点としては、速度調定率は、負荷が減少したときに周波数がどれだけ上昇するかという意味です。
そのため、分母の出力は減少量、分子の周波数は上昇量となり、符号の定義の方向が反対になっているので、注意が必要です。
■■■(1)■■■
発電機Aについて、定格出力120MW、定格周波数50Hzであり、出力が80MWから40MWに減少したとき、周波数が50.50Hzになったので、速度調定率は、
$$\frac{\frac{50.50-50.00}{50.00}}{\frac{80-40}{120}}×100=3.0\left[\%\right]\tag{1}$$
(答)3.0[%]
■■■(2)■■■
負荷変動後の発電機Aの出力を$P_A$[kW]、発電機Bの出力を$P_B$[kW]、周波数の増加分$\Delta f$とすると、発電機Aの速度調定率の式について、
$$3.0=\frac{\frac{Δf}{50}}{\frac{100-P_A}{120}}×100\tag{2}$$
発電機Bの速度変動率の式について、
$$4.0=\frac{\frac{Δf}{50}}{\frac{80-P_B}{80}}×100\tag{3}$$
また、出力について、
$$P_A+P_B=150\tag{4}$$
の関係がある。
以上の式(2)、式(3)、式(4)の連立方程式を解いて、
$$\begin{cases}
P_A=80\\
P_B=70\\
Δf=0.250\tag{5}
\end{cases}$$
となる。
(答)系統周波数:50.25[Hz]、発電機Aの出力:80.0[MW]、発電機Bの出力:70.0[MW]